CO2排出量予測システム「カーボンデザイナー®」、計画初期段階から建物のホールライフカーボンの即時予測が可能に
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プレスリリース
株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:佐藤俊美)は、建物のCO2排出量予測システム「カーボンデザイナー」の機能を拡張し、建物の仕様が未確定な計画初期段階からホールライフカーボンの算出と削減取り組み効果のシミュレーションが可能になりました。これにより、ホールライフカーボン削減に向けた方針策定をより早期から支援します。
背景
政府が2025年4月に「建築物のライフサイクルカーボンの削減に向けた取組の推進に係る基本構想」(※1)を策定するなど、建物のホールライフカーボン(ライフサイクルカーボン)(※2)の削減に対する関心が高まっています。
ホールライフカーボン削減の取り組みを具体化するためには、ホールライフカーボンを計画初期段階で把握することが重要です。一方、既存のホールライフカーボン算定ツールは資材の数量情報の入力が必要であり、建物の仕様が未確定な計画初期段階では活用が困難という課題があります。
今般、大林組は2023年12月に開発した「カーボンデザイナー」の機能を拡張し、資材の数量情報が未確定な計画初期段階からホールライフカーボンの算出と削減取り組み効果の予測が可能になりました(※3)。

機能拡張後の「カーボンデザイナー」の概要
4項目の情報から即時予測が可能
「建物用途」「延床面積」「工事請負金額」「工期」の4項目の情報を入力すると、大林組の施工実績や算定ノウハウおよび公的データによりホールライフカーボンの即時予測が可能です。また、着工から解体までの時系列で排出予測も可能です。加えて、必須4項目以外の詳細情報の追加入力にも対応しており、検討の進捗に応じて予測精度を高めることができます。
ホールライフカーボン削減効果を自動計算・グラフ化
(1)の予測結果に加えて、削減取り組みメニュー(クリーンクリート®などの低炭素型資材の採用、軽油代替燃料の使用など)と取り組み数値(割合・数量など)を設定すると、そのホールライフカーボン削減効果を同時に自動計算し、グラフ化します。これにより、アップフロントカーボン、オペレーショナルカーボン、エンボディドカーボンといった各カテゴリにおける削減効果も同様に算出します。

拡張した機能の概要
予測範囲の拡大
資材製造~施工段階のCO2排出量予測方法の見直しおよび項目拡充により、その予測精度向上を図りました。また、予測範囲を解体段階まで拡大させ、ホールライフカーボン全体を網羅しました。

削減シミュレーション機能の強化
「資材製造」「施工」「使用」「運用(エネルギー消費)」における削減取り組みメニューを拡充(シミュレーション可能な軽油代替燃料の種類増加、BEI目標値の入力可、などを新たに追加)のうえ、基準建物との比較を自動で計算する機能を強化しました。これにより、さまざまな組み合わせによる削減取り組みの効果を即時に予測できるとともに、その削減量を直感的に把握できる「見える化」を実現しました。

今後の展望
大林組は、本システムを積極的に活用し、建物の計画初期段階から、ホールライフカーボン削減に取り組みやすい環境を提供することで、大林グループの長期ビジョン「Obayashi Sustainability Vision 2050」で掲げる脱炭素社会の実現に貢献していきます。
- ※1 出典:内閣官房ホームページ「建築物のライフサイクルカーボンの削減に向けた取組の推進に係る基本構想(建築物のライフサイクルカーボン削減に関する関係省庁連絡会議決定)」
- ※2 ホールライフカーボン(ライフサイクルカーボン)
建築物の資材製造から解体・廃棄に至るまでのライフサイクル全体で排出されるCO2などの温室効果ガスの量 - ※3 予測結果は設定された計算条件に基づく概算値であり、保証値ではありません
以上
この件に関するお問い合わせ先
大林組コーポレート・コミュニケーション室広報課
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