CO2を貯留する「CN(カーボンニュートラル)裏込め注入材」をシールドトンネル工事で初適用
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技術・ソリューション
大林組は、寝屋川流域下水道 門真寝屋川(二)増補幹線外(第1工区)下水管渠築造工事(大阪府東部流域下水道事務所発注)において、CN裏込め注入材を初適用しました。 シールドトンネル工事では、組み立てたセグメントと地山との間の空隙に裏込め注入材を充てんします。CN裏込め注入材は、裏込め注入材にバイオ炭を使用することで、従来と同等の品質を確保した上で、二酸化炭素(CO2)排出量実質ゼロ以下を実現するものです。 バイオ炭とは、木材やもみ殻などの生物由来の有機物資源(バイオマス)を炭化させたもので、炭素貯留効果が認められています。炭素が固定化されたバイオ炭を裏込め注入材に使用することで、CO2排出量の削減を実現します。さらに、炭素固定によるCO2削減量は、裏込め注入材の製造に伴うCO2排出量を上回るため、CO2排出量は実質ゼロ以下となります。 今回、本シールドトンネル工事の一部区間に、実工事として初めてCN裏込め注入材を適用しました。バイオ炭とベントナイト系材料を事前に混合したプレミックス品を使用することで、作泥時にバイオ炭の飛散や混練性不良を発生させることなく、従来と同等の設備、サイクルで施工することができました。なお、プレミックス品としても所定の品質を確保することや、プラントから切羽への配管圧送時に分離や沈降が生じないことを確認しています。 また、裏込め注入材の目標管理値は、1時間後の一軸圧縮強度が0.04N/mm²以上、フロー(※1)が400±100mm、ゲルタイム(※2)が15秒以内、ブリーディング(※3)が5%以下で、CN裏込め注入材の試験結果はいずれの項目も目標管理値を達成しています。
【CN裏込め注入材の各種試験結果】 フロー試験 ゲルタイム試験 ブリーディング試験 本工事では、一般的な裏込め注入材を「CN裏込め注入材」に置き換えたことにより、セグメント1リング当たりのCO2排出量を83.03㎏から-4.07㎏へと大幅に減らし、約105%の削減を実現しました。 大林組は、炭素貯留型シールド裏込め注入材「CN裏込め注入材」をシールドトンネル工事に積極的に提案することで、建設業界のカーボンニュートラル推進に先導的な役割を果たし、健全かつサステナブルなインフラ構築に貢献していきます。
試験結果
目標管理値
一軸圧縮強度試験
(1時間後)0.058N/mm²
0.04N/mm²以上
フロー試験
400mm
400±100mm
ゲルタイム試験
7.19秒
15秒以内
ブリーディング試験
0%
5%以下
流動性の指標で、円筒の中にA液(セメント、プレミックス材、安定剤、混練水からなる材料)を満たした後、円筒を静かに持ち上げた際の広がり
裏込め注入材を作成してから、硬化するまでの時間
A液の中の水が上昇し、材料分離する現象