切羽前方探査技術の全自動化

水圧ハンマーナビ®の全自動化

切羽前方150~200mの地質を全自動で探査します

水圧ハンマーナビの全自動化とは?

山岳トンネル工事では、切羽前方の地質を早期に把握することが、施工の安全および工程を確保するうえで重要です。水圧ハンマーナビは、専用のボーリングマシンに、先端駆動型の水圧ハンマーを搭載し、切羽前方150~200mの地質を8時間程度の短時間で探査できる探査システムです。この探査結果から独自に算定する「エネルギー指標値」に基づき、断層破砕帯などの崩落や突発的な湧水の危険がある区間を事前に高精度で予測するものです。

水圧ハンマーナビを含む切羽前方探査技術は、一般的にロッド(長い棒状の掘削用工具)1本の削孔ごとに、次のロッドを2人以上でセットし、オペレーターとの合図により継ぎ手(接合部)の接続と削孔を繰り返して行います。

水圧ハンマーナビの全自動化は、これらの削孔、ロッドの継ぎ足し、削孔完了後のロッド引き抜き撤去などの一連の作業を人の手を介さずに完全に自動化するものです。

なお、本システムは日本基礎技術株式会社との共同開発によるもので、同社のA-RPD(※1)を活用しています。

複数人で行う従来のロッド継ぎ足し状況
A-RPDを活用した全自動水圧ハンマーナビでの作業状況
水圧ハンマーナビで算定したエネルギー指標値に基づくリアルタイム地山等級予測
(上)削孔速度、(中)送水圧、(下)エネルギー指標値と地山評価

お客様のメリット

自動化による省人化

  • ロッドの継ぎ足し作業や、撤去作業が無人化されるため、従来5人で行っていた作業が3人で可能となり、40%の省人化を実現します。

長距離を短時間で削孔

  • 全自動化においても先端駆動型の水圧ハンマーにより、トンネル月間進行長さを超える150~200mを約8時間で削孔できます。
  • 削孔やロッド継ぎ足しの自動化により、削孔時間を短縮し、生産性が向上します。
  • 削孔時の地山性状や削孔状況に応じて、削孔速度調整、削孔の停止、フラッシング(※2)などを自動で判断するため、熟練技術者でなくても安定した削孔が可能になります。

自動削孔による安全性が向上

  • 削孔、ロッド継ぎ足し、撤去の自動化により、回転部の巻き込まれ災害などを防止し、安全性が向上します。
  • 山岳トンネル工事における切羽付近の肌落ち(掘削した表面の土砂や岩などがはがれ落ちること)災害防止対策に係るガイドライン(※3)にそった安全な方法で前方探査を行えます。

信頼性の高い地質予測・削孔状況の可視化

  • ボーリングの結果から独自に算定する「エネルギー指標値」を用いて、断層破砕帯・亀裂集中帯・風化変質帯などの脆弱性を正確に把握します。
  • 削孔時に、削孔深度や削孔速度、送水圧、フィード圧、地山等級などがリアルタイムで確認できるため、自動削孔においても、不良地山が判断できます。
切羽前方探査システム 水圧ハンマーナビの全自動化(動画再生時間:7分15秒)
  • ※1 A-RPD(Automatic Rotary Percussion Drill)
    日本基礎技術が開発した技術で、削孔作業の全ての操作を自動化し、地質状況に応じた制御削孔と熟練オペレーターレベルの削孔能率を実現
    A-RPD概要(日本基礎技術ウェブサイト)
  • ※2 フラッシング
    削孔時に孔内に発生するスライムなどの影響を排除するために洗浄する作業

【実績・適用例】

  • 国道429号道路新設改良工事(榎峠トンネル(仮称)、京都府)

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