プロジェクト最前線

トンネル技術の粋を集めて挑む!

中部横断自動車道臼田トンネル工事

2009. 11. 05

中部横断自動車道臼田トンネル工事

太平洋と日本海を結ぶ高速道路

中部横断自動車道は、静岡市から長野県佐久市まで、全長136kmにわたり整備が進められている。将来は上信越自動車道と一体化し、太平洋側と日本海側が約4時間で結ばれる予定だ。

大林組はこのうち、佐久市の約2.2km区間で、延長約800mの臼田トンネルなどを整備している。トンネル部はNATM工法を採用し、現在は600mまで機械掘削が完了。コンクリートの吹き付けやロックボルトの打ち込みが着々と進んでいる。

最高の技術提案で工事を獲得

今回の工事は、総合評価方式で行われた入札において、その結果が社内外で大きな話題となった。大林組は金額で15番札だったものの、44項目にわたる技術提案が高く評価され、工事を落札したのだ。

参加した22社と1JVのなかで、加算点で満点を獲得したのは大林組のみ。厳しい価格競争下でも技術で勝負できることを示した。

なかでも、技術研究所とともに実施しているのが「ノンコア削孔検層」という技術。掘削前に50m先の地質や地下水の状態を探査し、そのデータを施工に反映できることが特長だ。また、膨張コンクリートや高性能AE減水剤でひび割れを防止し、覆工の耐久性や止水性といった品質も確保している。

「地域の皆さんと同じ目線で」

そして、この現場が話題となっていることがもう一つ。現場が近隣の皆さん向けに毎月発行している「うすだトンネルニュース」だ。A3サイズの新聞には、工事の進捗状況がわかりやすく書かれ、現場メンバーの横顔紹介や、現場見学会に参加した小学生からのお便りなど、地域との交流を深める話題が盛りだくさん。近隣へ90部ほど配布し、2つの小学校には拡大コピーして届けている。

「地域の皆さんと同じ目線で工事を進めることで、私たちの仕事をより理解してもらえるようになりました」と話すのは現場の関山所長。「おかげで、地元のおいしい野菜もたくさんいただいています」と笑顔を見せる。

今後は、残り200mとなったトンネルを掘削し、覆工や設備工事などを順次進める。トンネルへと続く約1,400mの道路も整備していく予定だ。完成に向けて、関山所長が意気込みを力強く語った。 「安全と品質は絶対に妥協しないで施工します。そして、地域の皆さんにも喜んでもらえるような道路を造りあげます」

(取材2008年12月)

工事概要

名称中部横断自動車道臼田トンネル工事
場所長野県佐久市下小田切~佐久穂町大字高野町
発注国土交通省
設計建設技術センター、協和コンサルタンツ
概要トンネル:NATM工法、機械掘削、延長約800m、道路:延長約1,400m
工期2007年3月~2009年8月

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