プロジェクト最前線

「ストラット付きPC箱桁」で山岳橋梁を架ける!

第二東名高速道路 宍原第二高架橋(PC上部工)上り線工事

2009. 11. 05

山あいの急峻な斜面に架かる山岳橋梁

富士山の雄大な景色を望む静岡市清水区。その山あいで、第二東名高速道路「宍原第二高架橋」の工事が進んでいる。 急峻な山間部を通過し、清水インターチェンジへ続くこの高架橋は、全長579m、PC8径間連続ラーメン箱桁橋で、橋脚高は最大で32mになる山岳橋梁だ。 平成24年に開通予定の区間としては、この宍原第二高架橋が最後の工事。片側3車線の下り線は既に完成し、大林組は上り線のPC上部工を担当している。

大林組初の「ストラット付きPC箱桁」に挑む

今回の工事では、ストラットと呼ばれる支柱で床版を支える「ストラット付きPC箱桁構造」を大林組としては初めて採用。箱桁が単独で荷重を受けるのではなく、箱桁と斜めに伸びるストラットで床版を支持することが特徴の構造だ。 「幅員が約17mの高規格道路を支えるためには、その75%の幅の大きな箱桁が必要になります。ストラットを設けることで、小さな箱桁でも広幅員を確保でき、上部工全体を軽量化できるのです」と星加工事長がメリットを教えてくれた。

姿を現した巨大な"やじろべえ"

高架橋の施工にあたっては、7本の橋脚それぞれから"やじろべえ"のように両側へと構築していく「張り出し架設工法」で進めている。 一連の施工手順はこうだ。まず、型枠を組み込んだ2台の移動作業車を橋脚に設置。PC箱桁や床版、ストラットなどを構築した後、両側に向かって3mほど前進する。この作業を繰り返すと、7体の巨大な"やじろべえ"が姿を現す。それらを空中でピタリと連結することで、全長579mの橋梁が完成となる。 現在は7つの躯体のうち2体が完成し、5体ではそれぞれの進捗に合わせた作業が並行で進んでいる。

「新しい技術に挑戦した経験を糧に」

この工事では、入社1年目の河村職員、2年目の釘宮職員といった若手メンバーも施工管理を担当。寒空のなか、現場に出ずっぱりで奮闘中だ。河村職員は「設計速度140kmのスーパーハイウェイは、路面の平坦性一つにしても、施工中の緻密な精度管理が問われます。100年という耐用年数を実現するためにも、品質管理が大きなポイントとなるのです」と力強く話す。 メンバーを率いる真浦所長は「橋梁の構造というのは、用途や地形などに合わせて多岐にわたります。新技術に取り組んだ経験は必ず活かされるので、多くのことを吸収して、さまざまな技術提案ができるエンジニアになってほしいですね」と若者たちへのメッセージを語った。 初採用となる「ストラット付きPC箱桁構造」に挑み、現場メンバーが一丸となって進める工事は、竣工に向けいよいよ佳境に入った。2010年6月には、日本一の景色を誇る高架橋が誕生する予定だ。

(取材2009年02月)

工事概要

名称第二東名高速道路 宍原第二高架橋(PC上部工)上り線工事
場所静岡市清水区宍原
発注中日本高速道路
設計基本:中日本高速道路、詳細:大林組
概要PC8径間連続ストラット付きPC箱桁橋、橋長579m、有効幅員16.5m~20m
工期2006年11月~2010年6月

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