「コンクリート製造名人」が大門ダムに全面的に採用されました

細骨材水浸式計量システムにより安定した品質を確保

プレスリリース

株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:白石達)は、コンクリートの安定した品質を確保できる細骨材水浸式計量システム「コンクリート製造名人」を大門ダム建設工事(発注者:奈良県、所在地:奈良県生駒郡三郷町)の現場プラントに導入し、ダムコンクリートの製造に全面的に適用しました。

品質が安定したコンクリートを製造するには、その構成材料であるセメント、細骨材(砂)、粗骨材(砂利や砕石)、水、混和剤などの材料を正確に計量することが重要です。これらのうち、セメントや混和剤は正確に計量できますが、通常骨材は表面に水分が付着しているため、計量値を補正する必要があります。

特に、細骨材は、一般には表面に多量の水を含んだ湿潤状態で貯蔵されています。この表面水の量は、貯蔵する方法や期間によって異なり、時間の経過とともに変動します。貯蔵している細骨材の表面水を正確に把握することは難しく、一般の生コン工場では、熟練技術者の経験やノウハウで変動を見極めながら水量を補正しています。表面水を測定するための各種のセンサーが実用化されていますが、計測精度の面で課題が残されていました。

細骨材水浸式計量システム「コンクリート製造名人」は、細骨材を水に浸した状態で容積と質量を測定する新発想のシステムで、細骨材と水の密度差を利用してそれぞれの質量を算出します。同時に、細骨材の表面水率も正確に求めることができるため、正確な計量と配合が可能になり、コンクリートの品質の安定化が図れます。

特に、ダムの建設工事に使用するコンクリートは、わずかに水量が変化するだけで品質が大きく変動する性状のため、製造する際には厳密な水量管理が必要となります。大門ダムの建設工事では、コンクリートの品質確保のための提案技術として評価され、総量で約3万m³のコンクリートの製造に本システムを全面的に適用しました。

「コンクリート製造名人」は、2000年に開発、2002年のダム工事への初適用後、その効用が評価され、トンネル工事の吹き付けコンクリートやシールドのセグメントの製造など、適用範囲を広げ、製造量が約10万m³以上に達し、着実にその実績を増やしています。


「コンクリート製造名人」の特長は以下のとおりです。

  1. 迅速に水量を自動補正できます

    細骨材の表面水を正確に測定し、迅速に水量を自動補正して計量しますので、品質の変動が小さく、目標どおりのコンクリートを製造できます。ダムコンクリートや高流動コンクリートなど、水量の変動が品質に大きく影響するコンクリートの製造に適しています。


  2. 計量値がバッチ(※1)ごとに確認できます

    水浸式本システムはバッチごとに細骨材の表面水を測定しますので、細骨材と練り混ぜ水の計量値が自動的に補正されます。計量印字記録に出力されますので、製造したコンクリートの配合をバッチごとに確認できます。  

    ※1 バッチ:コンクリートなどを一度で練り混ぜる量で、その量は実際に打設する量や練り混ぜ機の性能によって異なります。


  3. コンパクト化が可能です

    大門ダムでは、本システムをコンパクト化して現場プラントに設置しました。既設のプラントにも設置可能となり、任意の製造プラントにパッケージ化して追加敷設することで、安定した品質のコンクリートの製造が実現できます。

大林組は、細骨材水浸式計量システム「コンクリート製造名人」を、今後もコンクリートの安定した品質の確保が要求される各種建設工事に積極的に提案していきます。

大門ダムの全景

大門ダムの全景

大門ダムにおけるコンクリート製造システムの構成(既設の計量制御システムと水浸式計量システムを連動)

大門ダムにおけるコンクリート製造システムの構成
(既設の計量制御システムと水浸式計量システムを連動)

細骨材水浸式計量システムの概要

細骨材水浸式計量システムの概要


以上

この件に関するお問い合わせ先
大林組 CSR室広報部広報第一課
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