タワークレーンを用いたコンクリート自動運搬システムを開発しました

ダム建設において熟練オペレーターの操作模倣により生産性と安全性を向上

プレスリリース

株式会社大林組
株式会社北川鉄工所

株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:蓮輪賢治)、株式会社北川鉄工所(本社:広島県府中市、社長:北川祐治)は、ダム建設におけるタワークレーンのコンクリート自動運搬システムを共同開発し、ダム情報化施工技術「ODICT™」に集約された主要な技術の一つとして、独立行政法人水資源機構(本社:埼玉県さいたま市、理事長:金尾健司)発注の川上ダム本体建設工事(三重県伊賀市)にて実用化しました。

システム稼働イメージ図

コンクリートダムの建設においては、コンクリート製造設備であるバッチャープラントから堤体打設箇所へ大量のコンクリートをクレーンで運搬するなど、施工現場におけるコンクリートの運搬は工事全体の進捗に大きく影響する重要な作業です。大林組では、かねて主流であったケーブルクレーンにおいては、自動運搬システムを活用し施工してきました。一方で、ケーブルクレーン設置に伴う地山改変による自然環境への影響を考慮し、近年ではタワークレーンによる施工を採用することが増えています。

クレーン作業は一度に運搬するコンクリートとバケットの総重量が20t近くに及ぶこともあり、安全に運搬をするためには荷の振れを最小限に抑える熟練技術が必要です。しかし、長時間にわたる繰り返しの運搬は、オペレーターに大きく負荷がかかることに加え、近年、熟練技術を有したクレーンオペレーターが不足していることから、繰り返し作業における安全性の確保や作業の省人化が求められています。

そこで、このたび国内最大級のタワークレーン(最大作業半径86m、定格荷重25tのつり上げ能力)を用いて、熟練オペレーターの操作を記憶し再現することができるコンクリート自動運搬システムを開発しました。

タワークレーンを用いたコンクリート自動運搬システムの特長は以下のとおりです。

熟練オペレーターによる最適な運搬を再現

ダム施工におけるクレーン作業は、一定の地点間で毎回ほぼ等しい重量の荷を何度も繰り返し運搬します。本システムは、あらかじめ記憶した操作を再生するティーチングプレイバック方式を採用しており、一度熟練オペレーターによる荷の振れを最小限に抑えた効率的な運搬を記憶させることで、その動作を繰り返し再現することができます。そのため、経験の浅いオペレーターが搭乗しても熟練の技能を再現した最適な運搬を繰り返し行えます。

将来的には複数台のクレーンにおいて本システムを運用し、稼働状況を一人のオペレーターが監視・管理を行うことで省人化を図り、生産性の向上を推進することが可能となります。

オペレーターが操作の負荷から解放され安全性が向上

従来のコンクリート運搬作業では、長時間の繰り返し作業によりオペレーターに大きな負荷がかかり、集中力の低下を招く可能性がありました。

本システムでは、自動運搬作業の間、オペレーターはクレーンの操作から解放され、監視作業に集中することができます。単調な繰り返し運搬をシステムに任せることで、オペレーターの作業負荷を軽減すると同時に、より安全に運搬作業を進めることが可能です。

クレーンの接近を検知し自動で停止

本システムは、GNSS(全地球測位システム)などによりクレーンの先端の位置をリアルタイムに認識しており、他のクレーンとの接近を検知することができます。接近を検知した場合は、オペレーターへアラートを発すると同時に自動で停止します。

大林組は、本システムを積極的に活用していくことで、ダムの建設現場における労働力不足の解消など社会課題の解決に貢献していきます。

以上

この件に関するお問い合わせ先
大林組 コーポレート・コミュニケーション室 広報第一課
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