防水性能を有するプレキャストPC床版を開発

高速道路リニューアルプロジェクトにおける工程短縮と耐久性向上をめざします

プレスリリース

株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:蓮輪賢治)は東日本高速道路株式会社(本社:東京都千代田区、社長:小畠徹)と共同で、高速道路リニューアルプロジェクトにおける床版取替工事の工程短縮および床版の耐久性向上をめざして、超高強度繊維補強コンクリート(UFC:Ultra High Strength Fiber Reinforced Concrete)とコンクリートの複合構造である、防水性能を有するプレキャストPC床版(※1)を開発しました。

防水性能を有するプレキャストPC床版の概要

安全・安心な高速道路サービスの提供のためには、工事規制の影響を極力減らすことが求められます。これは、高速道路リニューアルプロジェクトの床版取替工事でも同じことであり、施工期間中の工事規制日数を少しでも減らすことが重要です。

また、コンクリート床版では、アスファルト舗装のひび割れや橋面排水装置の損傷から生じる水の影響により、コンクリートや鉄筋の劣化が促進することが分かっており、従来は、床版内部に雨水を浸透させないための防水工を建設現場で施工していました。

今回開発した防水性能を有するプレキャストPC床版は、UFCが持つ防水性能を活用した技術で、プレキャスト工場にてUFCとコンクリートとの複合構造となるプレキャストPC床版を製作し、床版表面の防水性能を確保しています。UFCは100年劣化しない材料であることから、長期にわたり床版の防水性が損なわれません。

本技術の特長は以下のとおりです。

施工日数を短縮

UFCとコンクリートとの複合構造であるPC床版をプレキャスト工場で製作し、建設現場へ運搬して設置します。床版接合部にもUFCを用いることで、床版全面をUFCで覆い、床版の防水性を確保します。建設現場での別途の防水工が不要となることから、施工日数が短縮されます。

従来工法と新開発工法での施工の流れを比較

優れた長期の防水性

UFCの厚さは、プレキャストコンクリートの製造および供用中の荷重作用などによるひび割れが起こらないよう2~5cmとしています。UFCは防水性を有するため、舗装を浸透した雨水はUFC上で排水され、従来の防水工と同様にコンクリート内部への浸透を抑制します。

実物大の床版切り出しモデルを用いた輪荷重走行試験により、設計供用期間である100年を超える使用状況を再現し、防水性能が保持されていること、十分な疲労耐久性を有すること、コンクリートとUFCとの一体性が確保されていることを確認しました。

本技術の検証にあたっては、大林組が開発したUFCであるスリムクリート®を用いました。プレキャストPC床版同士の接合部には、スリムクリートを採用したスリムファスナー®を用いることで、床版部と同様の防水性を確保しています。

防水性能を有するプレキャストPC床版の排水イメージ
輪荷重載荷試験によるプレキャストPC床版疲労耐久性の検証

本技術は、さまざまな構造検討、性能確認実験および輪荷重走行試験により、実橋へ適用するのに十分な一体性、防水性能、強度および疲労耐久性を有することを確認しています。今後、高速道路リニューアルプロジェクトにおいて、本技術の適用を検討していきます。

  • ※1 プレキャストPC床版
    工場で製作するプレストレストコンクリートの床版

以上

この件に関するお問い合わせ先
大林組 コーポレート・コミュニケーション室 広報第一課
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