山口県で小型ロケットの空中発射試験に協力

技術・ソリューション

2020年7月25日、山口県宇部市において小型ロケットの空中発射システムの発射試験が行われました。発射試験は宇宙産業への進出をめざす「やまぐち空中発射プロジェクト(※1)」が実施したもので、大林組はこの発射試験に協力しました。

大林組は、内閣府らが主催する宇宙産業促進に向けた取り組み「宇宙ビジネス投資マッチング・プラットフォーム(S-Matching)(※2)を活用し、宇宙ビジネスのアイデアを持つ個人や企業との交流を行っており、現在、共同研究をはじめさまざまな取り組みを進めています。今回の協力もその一つです。

やまぐち空中発射プロジェクトは、山口県内の精密部品やロボット製造、金属加工メーカー、大学といった複数のメンバーで構成されており、気球でロケットを成層圏へ運び、そこから発射する仕組みを開発しています。小型人工衛星の打ち上げを地上よりも低コストにすることが可能です。発射試験では、ロケットの発射方向を制御する姿勢制御装置の挙動などを試験用ロケットを用いて検証しました。

  • クレーンでつった姿勢制御装置付きの発射装置に試験用ロケットを装着

  • 広大な採石場で長さ約1.5mの試験用ロケット(オレンジ色)を計4回空中から発射

  • 高度30km付近までロケットを気球で運搬(画像提供:やまぐち空中発射プロジェクト)

今回の試験で大林組は、地震時の建物の揺れを計測するノウハウを活かし、空中からロケットが発射される際の、姿勢制御装置の応答加速度などを測定。今後の空中発射システムの構築に資する貴重なデータを取得しました。

大林組はこれまでにも、宇宙エレベーター建設構想や、ロケット洋上発射建設素材の宇宙実験など、積極的に宇宙分野の研究開発を進めてきました。今後も、ゼネコンの枠にとらわれることなく、幅広い分野に取り組むとともに、地域のさまざまな活動と連携し、互いの特長を活かすことで、地域の振興と日本における宇宙産業の発展に貢献していきます。

  • ※1 やまぐち空中発射プロジェクト
    急増する民間衛星打ち上げ市場への参入に向けた技術開発。正式名称「液体式小型ロケット空中発射事業に於ける発射装置の研究開発」。やまぐち産業イノベーション促進補助金(航空機・宇宙産業関連分野)に採択され、事業化に向けて液体式小型ロケットと100kg級小型衛星の一体型開発モデルの構築、サブスケールロケットを使った空中発射システム試験、さらに成層圏気球用バルーンスラスタの設計開発を実施

  • ※2 宇宙ビジネス投資マッチング・プラットフォーム(S-Matching)
    2017年、内閣府と経済産業省により発足。宇宙に関するビジネス・アイデアや新事業構想を有する個人・ベンチャー企業と投資家・事業会社とのマッチングを円滑化するための場

この件に関するお問い合わせ先
プロジェクト事務局 一般財団法人宇宙システム開発利用推進機構
yamaguchi-pj-office@jspacesystems.or.jp