2020年度エンジニアリング功労者賞と奨励特別賞を受賞
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サステナビリティ
エンジニアリング協会が主催する2020年度「第40回エンジニアリング功労者賞」と「第12回エンジニアリング奨励特別賞」が発表され、大林組のプロジェクトと開発技術が4部門で受賞しました。
エンジニアリング功労者賞は、ゼネコンやエンジニアリング、鉄鋼、造船などの多様な分野の企業・団体から推薦を募り決定されるもので、エンジニアリング産業の発展に貢献したグループと個人に贈られます。エンジニアリング奨励特別賞は、商業的実用化が期待される先駆的技術の開発に顕著な功績のあったグループに贈られます。今年度はエンジニアリング功労者賞にグループ表彰の23チームと個人表彰2人、奨励特別賞に5チームが選出されました。
エンジニアリング功労者賞
国際貢献部門
ジャカルタ都市高速鉄道 第1期103工区&104・105工区チーム(大林組、清水建設)
経済発展を続けるインドネシア・ジャカルタ首都圏の慢性的な交通渋滞解消を目的に、高架区間3.8kmとトンネル3.9kmからなる延長7.7kmの都市高速鉄道を建設しました。
インドネシア初のシールドトンネル工事に伴い、現地スタッフにシールド関連技術の教育・訓練を実施。第2期プロジェクトでは、第1期工事に携わったスタッフが成長し現地エンジニアとして活躍することが期待されています。
1日の利用客は10万人に達するなどジャカルタ首都圏の交通事情を大きく改善し、市の発展に貢献したことや、ジャカルタの都市⾼速交通網の今後のさらなる充実に寄与したことなどが⾼く評価されました。
エンジニアリング振興部門
首都高速板橋・熊野町JCT間高架橋拡幅プロジェクトチーム(大林組、JFEエンジニアリング、横河ブリッジ)
首都高速道路中央環状線と5号池袋線が重複する板橋・熊野町JCT間の渋滞解消をめざし、約520mの二層式高架橋区間の車道を拡幅しました。
高速道路を供用したまま上下層とも拡幅するために、既設橋脚の前後に一回り大きな2本のラケット型橋脚を新設し、橋桁の受け替え後に既設橋脚を撤去する「サンドイッチ工法」を採用しました。
通行止めを行うことなくラケット型橋脚で支持された二層式高架橋の車道拡幅を完了したのはわが国初であり、今後の道路橋の改築・更新事業分野の技術革新に大いに寄与するとして評価されました。
中小規模プロジェクト枠部門
熊本城崩落石回収での無人化施工適用プロジェクトチーム(大林組)
2016年の熊本地震で被害を受けた熊本城飯田丸五階櫓の石垣復旧工事に、大林組が開発した汎用遠隔操縦装置サロゲート®を活用し、無人化施工を実施しました。
余震によって建造物や石垣がさらに倒壊する危険あったことから、崩落部直下で安全に回収作業ができるよう、バックホウの操縦席にサロゲートを装着し、遠隔操作によって落石回収を行いました。
文化財である石材を損傷させることなく迅速に回収し、復旧を願う人々の思いに応えたこと、本技術の適用拡大が人員不足の解消や労働環境の改善、機械施工の自動化、自律化実現に資することなどが評価されました。
エンジニアリング奨励特別賞
実プロ化が期待される先駆的技術(※1)
解体騒音低減装置「バブルサイレンサー®」開発チーム(大林組)
バブルサイレンサーは、構造物の解体時にコンクリートを破砕するジャイアントブレーカーに後付けできる解体騒音低減装置です。
ブレーカーの主な騒音発生源が先端ノミ部分であることを突き止め、ノミ全体を一定の厚さ以上の気泡で覆い続ける「気泡放出装置」を考案。ブレーカーに装着しました。これにより、作業時に発生する騒音を低減、破砕に伴う粉じんの飛散も約9割抑制できることを実証しました。
本装置の開発により、ブレーカーを使わざるを得ない地下躯体や基礎部分の解体作業において、従来困難だった騒音対策ができるようになったことが評価されました。
- ※1 実プロ化が期待される先駆的技術実際のプロジェクトで使用されていないが実証された先駆的な技術で、実用化された場合にはわが国エンジニアリング産業の発展に多大な貢献となるもの。なお、バブルサイレンサーはすでに試験適用を終え、実際のプロジェクトで多数適用されています
大林組は、これからも技術と知恵を結集したエンジニアリングによって、国内はもとより海外においても安全で安心して暮らせる街づくりの整備と社会的課題の解決に貢献していきます。