山岳トンネルにおいて全自動でセントルをセットするシステムを開発しました

覆工コンクリート作業に係る人数を3分の1まで省人化

プレスリリース

株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:蓮輪賢治)は、岐阜工業株式会社(本社:岐阜県瑞穂市、社長:宗像国義)と共同で、山岳トンネルの覆工コンクリート作業において、ボタン操作でセントルを所定の位置に正確にセットする「セントルの全自動セットシステム」を開発しました。

セントル全自動セットシステム図

山岳トンネルにおける覆工コンクリートは、トンネルの内側にセントルと呼ばれる移動式鋼製型枠をセットし、トンネルとの隙間にコンクリートを流し込み構築します。セントルは約10mのコンクリート打設ごとにレール上をスライドさせて移動しますが、所定の位置に正しくセットするためには、セントルの中心位置や高さを繰り返し測量し、位置と姿勢を細かく制御する必要があります。一回の作業にはおおよそ6人で約90分を要することから、その作業効率を上げることは、工事全体の生産性向上に大いに寄与します。

今回、大林組と岐阜工業が開発したセントルの全自動セットシステムは、セントルに自己位置と傾斜を把握する測量やセンシング機器、およびそれらから得る情報を元に移動を指示する駆動指令部を搭載しています。一回のボタン操作でセントルを自動で正しい位置に移動、据え付けられるため、セットに係る作業時間を2人で30分まで短縮することができます。

「セントルの全自動セットシステム」の特長は以下のとおりです。

作業時間の大幅な短縮と省人化を実現

セントルに搭載された測量機械や傾斜計といったセンシング機器が、随時「自己位置の把握」と「姿勢(覆工形状)の把握」を行い、同様にセントルに搭載された駆動指令部と共有します。駆動指令部が共有されたデータを元に、目標地点までの移動距離などを演算し、指示を発信することでセントルが自動で移動します。

さらに、移動後に高さや位置を調整し固定するための、天フォームの横送り装置やジャッキ、サイドフォームのジャッキの伸縮も自動化するなど、セントルのセットがボタン操作のみですべて自動でできます。そのため、複数回の測量作業や手動によるジャッキの伸縮などが不要となり、従来の作業人数の3分の1となる2人で作業でき、かつ所要時間も30分に短縮できます。

セントルの全自動セットシステムのデータ連携図

ヒューマンエラーの回避と精緻なセットにより高い品質を確保

自動かつミリ単位の精度でセットが可能なため、人が繰り返し行うことによる人為的ミスを排除できるだけでなく、より高い精度で設計仕様に沿った覆工コンクリートを構築できます。

セントルの種類を問わず後付けが可能

センシング機器や駆動指令部は後付けが可能なため、セントルのメーカーを問わず利用できます。

大林組では、山岳トンネル統合システム「OTISM®(Obayashi Tunnel Integrated System)」(※1)の開発に取り組んでおり、セントルの全自動セットシステムは、そのうちトンネル覆工の品質向上・省力化に関する一連のシステム「OTISM/LINING™」の構成技術です。今回の開発を受けて、「OTISM/LINING」の5つの分野すべての技術開発が完了しました。今後すべての技術が現場に適用されれば、品質向上だけでなく、覆工作業全体を通じて現在6人~9人必要とする覆工作業に係る人員数を、2人~3人にまで省人化できます。

山岳トンネル覆工の品質向上・省力化システム「OTISM/LINING」

以上

この件に関するお問い合わせ先
大林組 コーポレート・コミュニケーション室 広報課
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