和歌山・すさみ串本道路和深IC工事で低炭素型土質改良材「バイプロジオ®(L)」を適用

掘削土の改善に係るCO2排出量を約72%削減しました

技術・ソリューション

大林組は、紀伊半島沿岸部のネットワークを構成する道路、すさみ串本道路和深IC工事(発注者:近畿地方整備局)において、場所打ち杭の施工で発生した掘削土を低炭素型土質改良材「バイプロジオ(L)」で改質し、含水性状を改善しながら、掘削土の改質に係るCO2排出量約72%削減を実現しました。

バイプロジオ(L)で改質した掘削土の積み込み状況

2050年のカーボンニュートラルの実現に向け、建設業界では建設資材の脱炭素化を進めており、大林組は、製造過程で多くのCO2を排出するセメントの使用量を減らすなどの方法として、クリーンクリート®(※1)をはじめとした低炭素型の資材を開発しています。地盤改良材としては、さまざまなケースで最大限の効果を発揮するため、バイプロジオ(L)、バイプロジオ(C)、クリーンクリートジオ®(※2)、Infill Hard Geo™(インフィルハードジオ)(※3)の4種類の低炭素型地盤改良材を開発しています。

今般、水を多く含んだ性状の改善に有効なバイプロジオ(L)を、すさみ串本道路和深IC工事の場所打ち杭の施工で発生した掘削土の改質に使用しました。その効果は以下のとおりです。

水を多く含んだ性状を改善

本工事は河川の近くで場所打ち杭を施工しており、地下水位が高いことから多くの水を含んだ掘削土が発生します。そのままの状態で掘削土を運搬すると、ダンプトラックから泥水が漏れて公道を汚してしまうため、土の性状を改善する必要があります。

具体的には、目視では水が浮かんでいない状態で、定量的にはテーブルフロー値(50回落下)(※4)で125mm以下にすることを目標としました。バイプロジオ(L)を30kg/m³添加したところテーブルフロー値は103mmとなり、従来の改質材であるセメントを30kg/m³添加した場合と同等の結果が得られました。

改質方法別のテーブルフロー値

改質方法 テーブルフロー値(mm)
改質なし 158
従来の改質材(セメント) 102
バイプロジオ(L) 103
  • 場所打ち杭掘削状況

  • 改質しない場合にダンプトラックから漏れる泥水

掘削土の改良に係るCO2排出量の削減

本工事では521m³の掘削土が発生し、セメントを使用して掘削土を改質した場合は12.1tのCO2排出量となります。バイプロジオ(L)を使用したことで3.4tのCO2排出量となり、約72%の削減を実現しました。

大林組は、低炭素型地盤改良材シリーズのバイプロジオ(L)、バイプロジオ(C)、クリーンクリートジオ、Infill Hard Geoをそれぞれのニーズに合わせて積極的に提案し、安全・安心なインフラ整備とカーボンニュートラルに貢献します。

  • ※1 クリーンクリート
    セメントの大部分を高炉スラグ微粉末などの産業副産物と大量に置き換えることで、CO2排出量を大幅に削減できるコンクリート
  • ※2 バイプロジオ(L)、バイプロジオ(C)、クリーンクリートジオ
    環境リスクの高い土壌でも、脱炭素に貢献しながら土壌環境保全を実現する地盤改良材
  • ※3 Infill Hard Geo
    グラウト材に使用されるコロイダルシリカを工場生産から天然由来のものに置き換えることで、同等の性能を保って低炭素化を実現した地盤改良用グラウト材
  • ※4 テーブルフロー値(50回落下)
    テーブルフロー試験は、セメントの物理試験方法としてJIS R 5201に規格されており、落下回数や基準値を任意に設定して、土砂や改質土の流動性評価にも応用して使用される