2024年度グッドデザイン賞を受賞しました
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サステナビリティ
日本デザイン振興会が主催する「2024年度グッドデザイン賞」において、大林組が手がけた空調用誘引ユニットin-DUCT(インダクト)がグッドデザイン・ベスト100を受賞、nonowa国立SOUTH、大光電機ライティングコア札幌、3Dプリンター建築物3dpodの3作品がグッドデザイン賞を受賞しました。
グッドデザイン賞は、1957年に創設された日本で唯一の総合的なデザイン賞です。複雑化する社会において、課題の解決や新たなテーマの発見にデザインへの期待がますます高まっています。そうした時代にあってグッドデザイン賞は、製品、建築、ソフトウェア、システム、サービスなど、かたちのあるなしにかかわらず、人が何らかの理想や目的を果たすために築いたものごとをデザインと捉え、評価・顕彰しています。
in-DUCT(インダクト) 【グッドデザイン・ベスト100】

in-DUCTは、大空間や半屋外空間における快適な空調環境を確保するために大林組が開発した空調用誘引ユニットです。周囲の空気を誘引することで1.5倍の大風量空気を供給して空調することが可能であり、それにより室温と送風温度の差が抑えられるため、吹き出し口の結露抑制にも寄与します。北海道日本ハムファイターズが本拠地とするエスコンフィールドHOKKAIDOでもこのユニットを導入しています。
<審査委員の評価>
見えない空気に着目することで、コストを大きくかけずに大規模空間の空調の問題を大きく改善することに成功している。大きな動力を追加することもないので、天井のノイズも最小限に抑えることができる。大空間でコストも大きく削減できて環境にも配慮できるのは、優れたデザインという評価だけではなく、時代を代表する発明といっても大げさではないだろう。この小さなくぼみが世界中のさまざまな地域で地球の環境問題に大きく貢献できる可能性を秘めている。
nonowa国立SOUTH

2024年3月に開業した、JR中央線国立駅直結の木造商業施設です。ガラス越しに木の架構を見せる外観は、国立市のシンボルである木造の「旧国立駅舎」とも調和し、駅前の景観に豊かさをもたらします。内部空間においても地域の木材を仕上げ材・サインに積極的に採用することで、利用者が木に親しみを感じられる空間をデザインしました。
<審査委員の評価>
この木造商業施設は、地域の象徴的な旧駅舎との調和を意識したデザインが評価できる。全面ガラスファサードにより、木の架構を積極的に見せることで、木材利用を視覚的に表現し、環境への配慮を示している点が優れている。また、木造柱と鉄骨梁を組み合わせたハイブリッド木造構造により、耐火性を確保しながら、筋交いのないすっきリとした架構を実現している。地域の木材を活用し、再生材を積極的に採用することで、サステナビリティを追求したデザインは、商業施設としての機能性と環境への配慮を両立させている。
大光電機ライティングコア札幌

土地の固有性を表現するため、北海道遺産の一つである江別レンガを外壁に取り入れたショールーム兼オフィスです。「展示室には一切自然光を入れず、事務室には自然光を入れる」という条件のもと、シンプルでモノリス(一体化した大きな物体)な外観となるよう外壁はレンガで統一しました。展示室はレンガで閉じ、事務室はレンガとガラスブリック(ガラス製レンガ)を組み合わせることで自然光を取り込んでいます。
<審査委員の評価>
北海道遺産である江別レンガとガラスブリックを巧みに組み合わせたファサードが印象的な建物である。レンガの質感とガラスブリックの透過性を融合させることで、モノリスのような外観の印象でありながらも光を取り込むデザインが実現されており、展示室と事務室という異なる空間要件を一つの外観で統一している点が優れている。また、地域の素材を使用しながら新しい透かし積み工法を採用することで、土地の固有性を尊重しつつ、機能性とデザイン性を両立させている点も高く評価できる。
3dpod

セメント系材料を用いた3Dプリンターによる建築物として、国内で初めて建築基準法に基づく国土交通大臣の認定を取得した構造形式の建屋です。建物形態はプリント可能範囲内で最大の空間を最小限の材料でつくり出す幾何学形状とし、耐久性、構造、環境性能の実証を行っています。
<審査委員の評価>
セメント系3Dプリンターで作る建築で、国内初の建築基準法に基づく大臣認定を取ったエポックメイキングなプロジェクト。曲面で一筆書き状に3Dプリンティングしていく施工方法により作られた形態は、通常の設計で作られる形態とは異なり、それにより有機的なフォルムのデザインを進化させるであろう。施工時間もオンサイトプリントとプレキャストプリントを合わせることで、効率化を図り、非常に短い時間で作られており、デザインと施工が一体となった建築になっている。今後の展開や未来の建築が楽しみである。
大林組は建設を通じて、デザインにできること・デザインが活かされる領域を広げ、一人ひとりが豊かに創造的に生きられる社会づくりに貢献していきます。