エスコンフィールドHOKKAIDOが日本免震構造協会賞作品賞を受賞

サステナビリティ

2025年6月10日、第26回日本免震構造協会賞の表彰式が開催され、大林組が設計施工した「エスコンフィールドHOKKAIDO」が作品賞に選ばれました。

日本免震構造協会賞は、免震や制振技術の発展と、安全で良質な建築物の整備に貢献していくことを目的に創設されたものです。作品賞は、免震構造などの特質を反映した格別に優れた建築物の実現に貢献した個人や団体に贈られます。

作品賞
エスコンフィールドHOKKAIDO

2023年に完成したエスコンフィールドHOKKAIDOは、日本初となる開閉式屋根を持つ天然芝の野球場です。厳しい寒さや積雪に対応するため、可動屋根と南東側に設けたガラス壁によって、太陽光を取り入れています。屋根やガラス壁は、免震・制震技術を軸とした工夫により、機能性と合理性をより高めています。

可動屋根は、野球のプレー環境やガラス壁側からの太陽光の獲得を考慮し、シンプルな切妻形状としました。この形状を生かし、水平方向にスライドする架構を採用したことで、温度変化や走行台車に及ぼす負荷を最小限に抑え、安定した走行を実現しています。架構の要となる頂部や走行台車には、オイルダンパーなどにより地震対策を施しました。

固定部分の屋根は、免震化によって客席の安全性を高めただけでなく、環境温度の変化による屋根の伸縮を免震装置が吸収し、その影響を最小限に抑えます。

高さ70mのガラス壁は、トラス柱の採用と制震ダンパーの効果によってスリムな構造体を実現し、透明性をさらに高めました。

切妻形状の大屋根が大きく開いた状態(©川澄・小林研二写真事務所)
南東側(写真右側)には太陽光を取り入れるための大きなガラス面が広がる(©川澄・小林研二写真事務所)

今回の受賞では、北海道の原風景に溶け込む切妻屋根と、スタジアムの機能や構造の合理性が調和している点、照明をはじめとする多くの吊り物の落下防止を支える免震屋根や、免震構造と開閉式の大屋根をうまく組み合わせて成立させた点などが高く評価されました。

対象 エスコンフィールドHOKKAIDO
建築主 ファイターズ スポーツ&エンターテイメント
設計者 大林組、HKS(設計協力)
施工者 大林組、岩田地崎建設

大林組はこれからも、安全・安心な暮らしを支える耐震、制震、免震技術の開発を進めてまいります。