伝統木造の縮小模型を用いた耐震性能を検証する振動実験
伝統木造の縮小模型を用いて、耐震性能を検証する振動実験を行っています。
損傷を最低限にとどめる最適な耐震補強を検討・採用します。
伝統工法により製作した薬医門の1/2模型による振動実験を行いました。
薬医門とは、伝統的な門の形式のひとつで、本柱2本と控柱2本で屋根を支える構造であり、屋根の中心の棟がやや本柱よりに位置しています。
入力加速度を徐々に上げ、2種類の加振実験を行いました。
模擬地震動による1軸加振
中越地震の小千谷波による3軸加振
2つの試験体を比較しました。
無補強試験体:大きな変形にも耐えられたが、仕口内部でやや大きな損傷発生
耐震補強した試験体:主要部材と仕口内部は軽微なひび割れと緩み程度
「ガラス制振壁」を開発、制振性能を把握するための振動台実験を実施
「ガラス制振壁」は、透明な板ガラスとエネルギー吸収能力の高い粘弾性体を組み合わせることにより、ガラスの特徴である透明性・開放性といった意匠性を確保しつつ、建物の耐震性の確保と風揺れに対する居住性の向上を図る制振システムです。
日本建築特有の開放性や外観の維持を求められる伝統木造建築物の耐震・制振補強に最適です。
ガラス制振壁の概要
振動台実験
ガラスのプロポーション・粘弾性体の設置位置の違いに応じた簡便で高精度の性能評価手法を確立することを目的として、振動台を用いて、振動性能把握実験とガラス安全性確認実験を行いました。
適用例(吉川英治記念館ミュージアムショップ)
大林組は伝統木造建築物を火災から守ります
耐火性能を検証する大断面木質柱の加熱実験
集成材・無垢製材などの大断面柱部材を想定した試験体を用い、放置時間を考慮した炭化速度の把握など、耐火性能に関する研究に取り組んでいます。
耐火性が優れた材料を検討・採用し、火災に強い建物を建築します。
けやき丸柱(直径300mm)による加熱実験を行いました。
類焼防止計画を確立する木材用防火塗料の燃焼試験
各種防火塗料の着火性・燃焼性を評価し、伝統木造建築の類焼防止性能への効果やほかの対策との有効な組み合わせを研究しています。
防火性の高い塗料を採用し、火災への安全性を確保します。
コーンカロリーメーター法による燃焼実験
100 ×100 ×20mmの基材の片側に各種防火塗料を塗布
大林組は伝統木造建築物を木材劣化から守ります
維持保全を検証する木材の材料劣化調査
「伝統木造建築物の維持保全のため、構造材である木材の劣化診断手法を研究しています。伝統木造建築物の耐震診断だけではなく、劣化診断も行います。木材損傷の許容程度という観点から、適切な調査・診断手法を選定し、それらを組み合わせて適用することで、より信用性の高い木材劣化診断を行うことができます。
水分計による含水率の測定
含水率の測定で、腐朽の可能性を診断できます
成長錐による小コア採取
円筒状木材を取り出して、腐朽の程度を調べます
レジストグラフによる測定
レジストグラフは、一定速度で貫入針を木材内に挿入させ、木材内部の腐朽・空洞・割れ・年輪などの状態を調べることができます