プロジェクト最前線

天然ガスの地下貯蔵タンク建設でコンクリートを5日間連続打設

東邦ガス知多緑浜工場No.3LNGタンク設置工事

2014. 07. 15

一般家庭約33万世帯が一年間に使用するガス量を貯蔵するLNGタンクを建設

環境にやさしいエネルギーの安定的な供給に向けて

世界中に広く分布する天然ガスは「都市ガス」の原料であり、今後の主要なエネルギーの一つとして大きな役割が期待されている。また、地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)の排出が少なく、大気汚染の原因となる硫黄酸化物(SOX)が発生しないことから、環境保全に貢献できるエネルギーといわれている。将来にわたって都市ガスの安定的な供給を確保するために、各地で大規模な液化天然ガス(LNG)貯蔵タンクの設置工事が進められている。

世界最大級の貯蔵を可能に

大林組は、愛知県知多(ちた)市の東邦ガス知多緑浜工場で3基目となる地下式LNGタンクを建設中だ。東邦ガス知多緑浜工場は、名古屋港の埋め立て地に位置し、海水浴場のある人工海浜や緑地帯などと広域な緑のネットワークを構成している。

この地で建設が進む、内径約74.5m、深さ約50.7m、容量22万kl(キロリットル)という大きさは、完成すれば世界最大規模の貯蔵施設となる。

東邦ガス知多緑浜工場にて建設が進むNo.3LNGタンク(手前)

コンクリートを104.5時間途切れなく打設

2012年にスタートした工事では、最初に深さ約100mの地中連続壁(円筒状の鉄筋コンクリート壁)を構築、これを土留めとして2013年、深さ約50mまで内部掘削を行った。こうしてできた地下大空間に、2014年1月、いよいよ一気にコンクリートを打ち込み、面積約5000m2の底版を構築することになった。

底版打設の施工手順はこうだ。まず、地上にコンクリートポンプ車を設置し、打設用配管をつないでタンク底部の架台上に設置したコンクリートポンプ車まで生コンを圧送。ポンプ車のホース筒先を移動させながら、底部全面で約300ヵ所設けられた打設口から順次コンクリートを投入していく。

貯蔵液の荷重と地下水圧に耐えられるよう、底版の厚さは6.3mと設計されたため、15層に分けてコンクリートを打ち込み、締め固めていった。昼夜交代の150人体制で行った全面打設は、104.5時間を要した。

「今回の底版コンクリート打設は、工事事務所、応援の職員・作業員、社内関係部署が一丸となった、努力のたまものです」と語る所長の小田。若手技術者にとって、この経験は今後、必ず役に立つと胸を張った。

底版コンクリートを打設
タンク完成図
ポンプ車から伸びたホースの筒先を打設口に差し込みコンクリートを投入

ミキサー車7000台分のコンクリートを供給

巨大底版の構築に必要とされた約3万1500m³のコンクリートは、知多地区周辺の8社から、延べ約7000台のミキサー車でノンストップで供給された。打設に要する時間や充てん、締め固めに必要な流動性を想定し、固まるスピードをコントロールすることで、継ぎ目のないコンクリート底版を実現した。

技術を統括した生産技術本部の副部長仙名は「打設工事を行った5日間、知多地区周辺のコンクリートはすべてここに集まった。工事関係者だけでなく、生コンプラントをはじめとする各メーカー、多くの協力と知恵、思いが積み重なって打設が可能となった」と振り返る。今後は、側壁、屋根の組み立て工事など次のステップへと進む。

生コンはプラントで製造後、時間との勝負になる。続々と到着するミキサー車がタンク周辺部に並ぶ

エネルギーインフラと技術を未来へ

副部長の仙名は十数年前にも大規模LNGタンクの建設に携わった。そして今回再び、めったにない大規模かつ緻密なプロジェクトに若手技術者と共に挑んだ。エネルギーインフラと建設技術を次世代につなぐため、2016年の完成をめざして今日も取り組んでいる。

1月28日(火)底版コンクリート打設開始
2月1日(土)底版コンクリート打設終了

(取材2014年4月)

工事概要

名称東邦ガス知多緑浜工場No.3LNGタンク設置工事
場所愛知県知多市緑浜町
発注東邦ガス
設計大林組
概要地下式LNGタンク、側壁・底版剛結合形式、耐水圧型強度底版
工期2012年~2016年
施工大林組

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