プロジェクト最前線

都市部の地下を巨大なシールドマシンが掘進中!

調布駅連続立体交差工事(土木)第二工区

2009. 11. 05

地域の期待に応えるプロジェクト

京王電鉄・京王線は新宿を起点に八王子へと延びる路線だ。途中で接続する井の頭線と相模原線、高尾線を合わせ、1日に170万人を超える都民の足を担っている。 現在、その京王線の調布駅付近で進められているのが、既存の鉄道を地下化して周辺の道路と立体交差を図る事業だ。踏切がなくなることで、交通渋滞の解消と鉄道で分離されていた市街地の一体化が期待されている。 大林組JVはこのうち、新宿寄りの国領駅から調布駅の区間で上下線2本のシールドトンネル工事を担当している。また、シールドが通過する布田駅の地下駅舎も併せて建設する。

高い技術と精密な管理で、都市部の地下工事に挑む

「今回の工事における最大の特徴は、営業線の直下をシールドマシンで掘り進めることです。しかも、通常のシールド工事では、地表から掘削地点まではマシンの直径以上の深さを確保しますが、この現場では深さ4.7mという土かぶりしかありません。また、地盤は30cm程度の石も含まれる礫層と呼ばれる地層で、切羽面の安定には細心の注意が必要です」と説明するのはシールド工事を担当する辻副所長だ。

「上下線の間隔は最も近接する所で40cmしかないので、施工には高いレベルの精度管理が要求されます」との言葉どおり、まさに腕の見せどころといえる。

一方、駅舎の地下化を担当する櫛谷副所長は、「地下駅は、現在地上にあるホームと線路を鋼製の桁で仮受けし、開削工法で築造します。日中は列車が運行しているので、これまでの工事はほとんど夜間作業で進めてきました」と話す。施工面での難しさもさることながら、制約がある時間のなかで効率よく進めることも、竣工に向けて大きな鍵を握っている。

五感を研ぎ澄ました「非デジタルのセンサー」も大切に

現在は国領駅側から発進したシールドマシンが調布駅に到達。マシンをUターンして縦にリフトアップした後、再び元の地点まで掘削する工事が始まる。 土かぶりが最小となる地点の施工や、2つのシールド間隔の管理、地下駅の構築など、工事はこれから本番を迎える。 「発注者や地元沿線の方々から寄せられる、この工事への期待をひしひしと感じています。必ず立派なトンネルを完成して引き渡したいと考えてきます」と力強く語るのは、工事を率いる渡辺所長だ。 「現場のメンバーには『非デジタルのセンサー』を最大限に活用して仕事に臨むよう、指導しています。それは、計器に頼るばかりではなく、視覚や嗅覚、聴覚などといった人間の五感を研ぎ澄ますということ。ちょっと変だな、これで大丈夫かな、といった現場感覚がトラブルを未然に防ぐ大事なポイントになると思っています」 普段は人目に触れない地下の現場で、近隣住民の安全性や利便性を高め、魅力ある街づくりに貢献する工事が進んでいる。

(取材2009年04月)

工事概要

名称調布駅連続立体交差工事(土木)第二工区
場所東京都調布市国領町
発注京王電鉄
設計京王電鉄
概要シールド推進工1,722m、駅部構築工236m
工期2006年11月~2013年3月
施工大林組、京王建設、前田建設工業、鴻池組

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