九州一の繁華街ともいわれる福岡・天神で1963年に創業した老舗割烹料理店「割烹よし田」は、市が進める再開発計画「天神ビッグバン」を契機として、2021年2月に移転しました。移転先は、旧店舗から徒歩15分ほど離れた、飲食店が立ち並ぶ旧問屋街・店屋町(てんやまち)。個室も多く備えた5階建ての店舗です。
長きにわたり地域の人たちのなじみの店であったことを何よりも大切にしたいと考え、その歴史や、これから新たな街で刻んでいく時間が、新店舗の風合いの変化として映り込むことを目指しました。
新しくもあり、なじみのお客さんにとってはどこか懐かしくもある――そうした場所であり続けることを目指した店舗の設計手法をご紹介します。

旧店舗の記憶をひも解く
新店舗の設計にあたり、旧店舗を象徴するものは何か、その要素を洗い出すことを試みました。
旧店舗の要素と構成をトレースし、店舗の記憶を可視化しました。旧店舗の記憶を抽象的に再構築することで、新しい「なじみの店」として、記憶のリノベーションを展開します。




周辺店舗とともに活気ある街並みを形成

店外から内部のエレベーターホールまで連続する左官壁に沿って並ぶ入店待ちの⾏列は、周辺店舗を含めた街のにぎわいや景観に寄与します。


旧店舗の記憶を店内へも展開




