既存天井落下防止構法「フェイルセーフシーリング®」が進化し、適用範囲が大幅に拡大

特殊な形状の天井への適用を実現し、建築技術性能証明を取得しました

プレスリリース

株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:白石達)は、既存天井落下防止構法フェイルセーフシーリング®(以下 FSC)の適用範囲を拡大するため、傾斜角30度までの傾斜天井や曲面天井など特殊な形状の天井への適用を可能とする技術を開発しました。特殊な形状の天井を対象とした落下防止技術(※1)は業界初です。

曲面天井へのFSC適用イメージ

曲面天井へのFSC適用イメージ

天井部の拡大イメージ

天井部の拡大イメージ

FSCは、既存天井の下面にフラットバー(アルミ製の平鋼)とネット、もしくはネット状のストリング(細いロープ)を設置することにより、既存天井を解体せずに天井の落下を防止する大林組独自の構法です。従来のFSCは、水平な平面天井のみを対象としていたため、傾斜した天井や曲面の天井など、特殊な形状の天井への対応が課題となっていました。

FSC設置イメージ

今回開発したFSCは、従来の技術に新機能を付加することで、これらの天井への適用を実現するとともに、一般財団法人日本建築総合試験所(※2)において、建築技術性能証明書を取得しています(GBRC性能証明 第16-27号)。また、性能証明取得に伴い、FSCの形状の自由度が高まったことから、施工性も向上します。

進化したFSCの主な特長は以下のとおりです。

  1. 水平な平面天井に加えて傾斜、曲面天井にも適用可能に

    従来のFSCは、フラットバーやストリングなどのネット状の部材を水平にのみ設置できましたが、今回、ネット状の部材と添えボルトとの接続部に、傾斜に対応した角度調整機能を加えることで、傾斜角30度までの天井にもFSCを適用することが可能になりました。

    また、ネット状の部材には柔軟性があるため、曲面の天井にも適用できます。劇場やホールなど、特殊な形状の天井が取り付けられていることが多い大空間建物の天井落下を防止します。

    FSC(特殊形状天井対応)の基本構成と曲面天井への適用

  2. 吊りボルトの設置間隔の拡大により、天井面への割り付け自由度が向上

    FSCは、既存または新設の吊りボルトに、添えボルトや貫通ボルトを固定して施工します。通常は既設の吊りボルトを活用し、一定の間隔で天井に割り付けてネット状に部材を設置しますが、従来のFSCは吊りボルトの設置間隔が前後左右1,800mm以下に制限されていました。そのため、既設ボルトの設置間隔が1,800mmを超過する場所では、天井の一部に穴をあけ、吊りボルトを新設して対応する必要がありました。

    今回開発したFSCは、建築技術性能証明取得時の実証試験により、吊りボルト一本当たりの負担面積が従来と同等の範囲であれば、水平天井、特殊な形状の天井共に、吊りボルトの設置間隔(水平投影間隔)を最大で3,000mmまで拡大することが可能であると検証されました。吊りボルトの設置間隔の拡大により、天井面への割り付け自由度が高まります。さらに、既設吊りボルトを活用できる範囲が広がることで、新設する吊りボルトの設置数が減少し施工性も向上します。

    吊りボルトの設置間隔を最大3,000mmに拡大

    吊りボルトの設置間隔を最大3,000mmに拡大

大林組は、今回開発したFSCの導入を促進するとともに、適用範囲をさらに広げるため、今後も技術開発を推進し、安全・安心な社会づくりに貢献していきます。

  • ※1 落下防止技術
    東日本大震災による多大な天井脱落被害を受けて、平成25年7月に建築基準法施行令および施行規則が改正され、天井の脱落対策に係る基準(平成25年8月国土交通省告示第771号)に基づき、脱落によって重大な危害を生ずる恐れがある天井(特定天井)には、脱落防止対策を講じることが必要になりました。既存建物の場合は、新築時と同様の技術基準に適合させるか、または落下防止措置(天井材が脱落しても天井を一時的に保持し、床への落下を防ぐことで利用者の避難時間を確保すること)を講じることになっています。なお、特定天井とは、人が日常利用する場所に設置されている吊り天井で、設置高さ6m超、面積(水平投影面積)200m²超、質量2kg/m²超の全ての条件に該当するものをいいます
  • ※2 一般財団法人日本建築総合試験所
    建築基準法に基づく指定性能評価機関および指定認定機関として、国土交通省から指定(登録)された第三者機関

以上

この件に関するお問い合わせ先
大林組 CSR室広報部広報第一課
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