第6回インフラメンテナンス大賞で国土交通大臣賞、優秀賞を受賞

サステナビリティ

総務省・文部科学省・厚生労働省・農林水産省・国土交通省・防衛省が主催する「第6回インフラメンテナンス大賞」において、大林組が開発した港湾施設の補修技術「スリムフローグラウト工法」と千本ダムでの耐震補強工事が国土交通大臣賞を、川上ダム建設でのCIMの有効活用が優秀賞を受賞しました。

インフラメンテナンス大賞は、社会資本のメンテナンスにかかわる優れた取り組みや技術開発を表彰し、広く紹介することで、日本のメンテナンス産業の活性化を図ることなどを目的としています。第6回となる今回は、応募総数195件の中から、計37件が入賞しました。

国土交通大臣賞

技術開発部門

■圧入施工が可能な超高耐久性モルタルによる補修技術(スリムフローグラウト工法)の開発

老朽化が進む桟橋構造物の効率的な維持管理に向けて、高耐久性材料により桟橋を供用しながら構造物の長寿命化を実現する「スリムフローグラウト工法」を開発しました。

スリムフローグラウト工法により、塩害環境下においても100年の耐久性を確保できることから、ライフサイクルコストの低減につながります。また、構造物下部から材料を圧入充てんすることにより、桟橋上を供用しながらの改修が可能です。

今回、構造物の長寿命化を図り、維持管理コストを抑えるだけでなく、改修中も桟橋利用者の事業活動を継続できることなどが高く評価され、受賞につながりました。

既設構造物の下部から高耐久性材料を圧入充てん。従来よりも補修厚さが薄く、100年の耐久性を確保できます
部門名 技術開発部門
案件名 圧入施工が可能な超高耐久性モルタルによる補修技術(スリムフローグラウト工法)の開発
受賞者 大林組

メンテナンス実施現場における工夫部門

■文化財に指定されたダムの堤体PSアンカー工法による耐震補強工事

島根県松江市にある千本ダムは建設から約100年が経過した今も、松江市の水道用水の4分の1を供給し続けています。調査により耐震性の懸念が判明し、堤体の耐震補強が必要となりました。国内初の堤体PSアンカー工法を採用し、工期と工費を従来工法より大幅に削減。風情ある石積み式の佇まいという歴史的価値を残し、耐久性・耐震性を向上させ、今後100年間の利用を見据えて実施しました。

ほかのダムへの展開も期待できる有用な工法であることが認められ、今回の受賞に至りました。

【ダムを知ろう OBAYASHI DAM WORLD】千本ダム堤体補強工事

景観を保存する工事完了後の全景
ダム堤体の天端からアンカーを挿入して基礎岩盤に定着
部門名 メンテナンス実施現場における工夫部門
案件名 文化財に指定されたダムの堤体PSアンカー工法による耐震補強工事
受賞者 松江市上下水道局、中電技術コンサルタント、大林組、田部石材、ダム技術センター、島根県土地改良事業団体連合会

優秀賞

技術開発部門

■DX-ダム本体建設における、CIMの設計・施工・維持管理への一貫利用

ダムは完成後数十年にわたる運用時の維持管理が重要な構造物です。このような観点から、三重県伊賀市に建設中の川上ダムでは、発注段階から維持管理まで有効なCIM(ConstructionInformationModeling/Management)の構築をめざしました。

川上ダム建設事業では、設計・施工・維持管理の各段階でCIMを一貫利用することで、インフラ建設とその後のメンテナンスの効率化を考慮したDXを達成しました。さらに、クレーン自動運転とCIMを連携したデジタルツイン現場管理による、工程管理・構造物品質管理の向上も実現しました。

設計から維持管理までを一体的に考えて、維持管理を効率的に行うため有効な手段であり、今後さまざまな現場で行われる技術であることが評価されました。

【ダムを知ろう OBAYASHI DAM WORLD】大林組ダム情報化施工技術「ODICT®」

異なる3次元CADデータをNavisWorksにより一元管理
部門名 技術開発部門
案件名 DX-ダム本体建設における、CIMの設計・施工・維持管理への一貫利用
受賞者 大林・佐藤・日本国土特定建設工事共同企業体、水資源機構、八千代エンジニヤリング、西田鉄工、豊国工業、TS

これからも大林組は、安全で安心な暮らしを守るために社会のインフラ整備に寄与し、新たな技術開発や土木・建設技術の発展に努めていきます。