深冷分離技術を用いた水素関連装置を開発するニュージーランドのベンチャー企業 AFCryo Global Limitedへ出資

プレスリリース

株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:蓮輪賢治)は、ニュージーランドで水素関連装置の開発を手掛けるFabrum Solutions Limited(ファブラム ソリューションズ社、以下 Fabrum社、本社:ニュージーランド クライストチャーチ、CEO:Ojas Mahapatra)の持株会社AFCryo Global Limited(エーエフクライヨ グローバル社、以下 AFGL社、本社:ニュージーランド クライストチャーチ、取締役:Christopher Boyle)に対して、英国の投資ファンドであるAP Ventures(本社:英国 ロンドン)(※1)、ならびに世界中で再生可能エネルギープロジェクトを推進しているFortescue Future Industries(本社:オーストラリア パース)(※2)他と共同で出資しました。

Fabrum社がCPH2社と共同で製造する水電解装置のイメージ

ニュージーランド政府は、2050年までにカーボンニュートラルを達成する政策を掲げており、その一環として水素の利活用を積極的に推進しています。大林組は2014年頃から同国のグリーンエネルギーの将来性に着目し、2021年には北島の中央部に位置するタウポ地区に地熱発電所を所有するTuaropaki Trust(トゥアロパキ・トラスト)(※3)と共同で、地熱発電を利用したグリーン水素の製造、販売を試験的に開始しました。

製造したグリーン水素は、現在、タウポで公共バスや長距離輸送トラックなど車両向けの燃料として活用しており、オークランドの水素ステーションにも供給する予定です。

2004年に設立されたFabrum社は、AFGL社グループの中核を担っており、水素と酸素それぞれの沸点の差を利用する深冷分離技術を有しています。また、英国の水素製造装置メーカーCPH2社と共同で、交換膜を用いない水電解と同技術を組み込んだ水電解装置の販売にも取り組んでいます。同装置は膜を用いないため、水素製造におけるメンテナンスの手間とコストを削減できるメリットがあります。

同社がこれまで積み上げてきた技術と実績はニュージーランドでも高い評価を受けており、同国の各種水素プロジェクトに計画段階から参画しています。また、同社はニュージーランドで水素製造装置を製作可能な唯一のメーカーであり、同社への出資は、同国でのサプライチェーンも含めた大林組の水素事業推進に大きく寄与するものと期待しています。

さらに、同社は航空機などの燃料としても期待される液化水素の貯蔵タンク・充てん設備の開発も進めており、小規模から中規模の液化水素製造、貯蔵・輸送および充てんまでの一連のサプライチェーンに応じた装置を提供できる可能性にも注目しています。

今後、Fabrum社の高い技術力と幅広い営業ネットワーク、大林組の実績・経験とのシナジー効果で、ニュージーランドでの水素事業をさらに開拓し拡充してまいります。

大林組は、2019年6月に発表した「Obayashi Sustainability Vision 2050」に基づきESG経営を推進しており、今回の取り組みを通じて、目標の一つとして掲げた「すべての人を幸福にする価値ある空間・サービスの提供」を実現する事業への深化・拡大を推進していきます。

  • ※1 AP Ventures
    ロンドンに本社を置く、再生可能エネルギーの普及などのグローバル課題を解決する技術や事業に投資するベンチャーキャピタル。2013年より水素産業へ投資し、水素バリューチェーン全体の中で、AP Venturesは主要なベンチャーキャピタルと認識されている。12のリミテッドパートナーが参画し、3億9,500万米ドルの資産を管理している。水素バリューチェーン全体で20社以上のベンチャー企業へ投資している
  • ※2 Fortescue Future Industries(FFI)
    世界有数の鉄鉱石生産者であるFortescue Metal Groupの子会社で、100%の再生可能エネルギー源からゼロカーボンのグリーン水素を生産することを会社の使命とする世界的なグリーンエネルギー企業。脱炭素化が困難な産業向けの技術ソリューションを開発し、グリーン水素とグリーンアンモニアのプロジェクトを世界中で構築している
  • ※3 Tuaropaki Trust
    ニュージーランドの先住民マオリの地権者をオーナーとする共同土地信託組織。持続可能な資源利用を重視した国内有数規模の地熱発電所を開発し、これまで20年間にわたり安定的に運転してきた。同発電所から得られた地熱電力、蒸気、排熱は、近隣の乳製品加工や温室栽培などのアグリビジネスにも活用されている

以上

この件に関するお問い合わせ先
大林組 コーポレート・コミュニケーション室広報課
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