2023年度エンジニアリング功労者賞を受賞
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サステナビリティ
7月18日、第一ホテル東京(東京都港区)で、2023年度「第43回エンジニアリング功労者賞」の表彰式が開催され、大林組は連装ガラスパーティション、土質判別システム、新不燃木材アルファティンバーの3つの技術で表彰されました。
エンジニアリング功労者賞は、エンジニアリング協会が主催し、エンジニアリング産業の発展に著しく貢献したグループ(チーム)や個人を表彰しています。今年度はグループ表彰16件が選ばれました。
エンジニアリング功労者賞
中小規模プロジェクト枠部門
■10分間防火性能連装ガラスパーティション開発チーム(大林組、コクヨ)
大林組は、コクヨと共同で、10分間の防火性能を有する連装ガラスパーティションを開発しました。壁一面がガラスのような開放感を与える「意匠性」と、火災時に炎や煙をシャットアウトして在館者の避難安全を確保する「防火性」を両立させました。
隣り合うガラス同士を緊結するシール目地の中央に直径3cmの丸形の変形防止金具を設置することで、火災加熱による変形を90%低減。火災室からの火炎や煙の噴出を防ぎ、廊下などの避難経路の避難安全性を高めます。
また、従来、変形を防止するために設置していた鋼製枠が不要となることに加え、避難安全検証法(※1)と組み合わせることで排煙設備や内装制限(内装材の不燃化)を緩和できるなど、コスト削減にも寄与します。
今回の受賞では、内装材を不燃処理せずに避難安全性が確保できる木質内装・木造建築物の普及促進に貢献する技術であること、近年増加しつつある事務所を小割分割したシェアオフィスなどで重要となる廊下の避難安全性確保に向け、本技術の採用が期待されることなどが評価されました。
- ※1 避難経路において在館者の避難が終了するまでに煙やガスにより危険な状態にならないかを確認する手法
■土質判別システム開発プロジェクトチーム(大林組)
土質判別システムは、ベルトコンベア上を搬送される土の性質を、連続で瞬時に判別・分別するシステムです。除染土壌や建設発生土などを、粘性土の3つの特性「断面積」「含水比」「乾燥密度」で判別し、土質に応じた最適な量の改質材を制御しながら添加します。
東日本大震災の福島第一原子力発電所の事故により発生した除染土壌は、粘性土から砂質土までさまざまな土が混在していました。福島の早期復興のため、連続かつ瞬時に土の性質を判別し、改質材の添加量を調整する必要がありました。
今回の受賞では、限られた施設容量の効率的利用と改質材による環境負荷の低減、総事業費の削減に貢献したこと、放射能を有する除染土壌を無人・自動で計測できるため、作業員の被ばくを回避できることが評価されました。今後、建設工事により発生する建設汚泥などの再利用にも寄与できると期待されています。
■新不燃木材「アルファティンバー」開発グループ(大林組、内外テクノス)
可燃物である木材を内装材として使用する場合は、難燃剤を含浸させ、不燃木材として加工し使用していましたが、多湿な環境下では難燃剤が表面に溶け出す白華現象が生じ、美観と防火性能の低下が課題となっていました。これを解決するために、大林組はグループ会社である内外テクノスと共同で、難燃材を使用しない新たな不燃木材「アルファティンバー」を開発しました。
アルファティンバーは、基材となる針葉樹や合板に特殊なアルミニウム箔複合シートを貼ることで(特許出願中)不燃化を実現します。難燃剤の注入や乾燥などの複雑な工程が不要で、短納期での製造が可能です。
今回の受賞では、スギなどの針葉樹に加え、従来不燃木材として使用できなかった合板などの木材資源を使用可能にしたこと、表面のアルミニウム箔複合シートを剥がすことで下地木材のリサイクルが可能となる、森林資源の循環利用促進に貢献する技術であることが評価されました。
大林組は、これからも技術と知恵を結集したエンジニアリングによって安全に安心して暮らせる街づくりに努め、持続可能な社会の実現に貢献していきます。