高精度なZEB評価を可能にする業界初(※1)の設計支援システム「SmoothSEK™」を開発

BIMワンモデルとZEB認証申請に必要な情報を一元化

プレスリリース

株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:蓮輪賢治)は、株式会社イズミシステム設計(本社:東京都新宿区、社長:小池康仁)と共同で、BIMワンモデルからZEB認証の申請に必要な省エネ性能計算情報を自動抽出する業界初の設計支援システム「SmoothSEK(スムーズセック)」を開発しました。

開発背景

2050年のカーボンニュートラル実現に向け、2025年には改正建築物省エネ法が施行されるなど、建築物のZEB化のニーズが高まっています。その中で、ZEB認証に係る申請では建築物省エネ法で規定された「標準入力法」を用いて省エネルギー性能を算出することが一般的ですが、建築・設備の設計図書から外皮性能や全室の床面積、設置されている設備機器などの情報を抽出し、計算プログラムに取り込むための入力シートを手動で作成するなど、多大な時間と労力が必要となる課題があります。

本システムの構成、特長

大林組は、自社のBIM業務標準SBS®(※2)に基づいたBIMワンモデルの一貫利用を推進しており、今回開発したSmoothSEKをBIMワンモデルと連携することで省エネルギー性能の評価を正確かつ円滑に行えるようになります。大林組は、すでにBIMワンモデルと相互連携し各種性能評価に必要な情報を抽出できるSmartHAK®(※3)、SHAREDTIK®(※4)を運用しており、それにSmoothSEKが加わることで、より高度で効率的な法的審査情報の抽出が可能となります。

BIMと各種性能評価のデータ連携概要図

本システムの特長は、以下のとおりです。

ZEB認証取得へBIMワンモデルを用いた正確で円滑な評価

ZEB認証の取得には、建築物の省エネルギー性能をBELS(※5)認証で評価する必要があり、BELS認証はBEI値(※6)を指標に評価されます。BEI値はさまざまなデータから算出されるため、各データの正確性と円滑な計算が重要です。本システムは、BIMワンモデルにより一元化された情報を使用するため、設計過程での内容の漏れや齟齬(そご)、自己検証や外部評価で使用するデータの違いによる不整合がなく、BEI値算出に必要な情報を正確に抽出できます。

BIMワンモデル一貫利用の中でのSmoothSEKの位置付け

BIMデータの自動抽出による省エネルギー性能算出作業の省力化

本システムは、標準入力法に必要な情報を建築・設備情報が入力されたBIMワンモデルから抽出し、SBSに対応したイズミシステム設計が提供するクラウドサービスB-LOOP(※7)に保管します。そして、省エネルギー計算を行うA-repo(※8)に連携させることで、正確かつ円滑な省エネルギー性能の算出が可能となります。

自動化により図面の照合作業が不要になったことで、省エネルギー性能の算出に要する時間を約50%短縮するとともに、検証作業も省力化できます。

多様な設備関連計算プログラムや省エネ性能の計算手法を一貫利用

設備仕様の設計には多岐に渡る機能別の計算が必要ですが、本システムでは各種計算評価アプリケーションとのデータ連携により、省エネルギー計算にそれぞれの計算結果を自動反映させる事が可能です。性能基準であるBEI値への貢献比率が高い空調仕様の選定では、熱負荷計算を詳細検討するNewHASP(※9)対応の空調設計系アプリケーションとBIMデータとの連携を構築する予定です。

SmoothSEKと各種アプリケーションとの連携

今後の展望

大林組は、デジタライゼーションにより、建築・設備情報を抽出した、省エネルギー計算における包括的なBIM活用の標準化をめざします。また、SmoothSEKを利用してZEB化のニーズに対応することで、カーボンニュートラルの実現に貢献します。

  • ※1 自社調べ(2023年8月)。「建築物省エネ法で規定された『標準入力法』とBIMの自動連携」として
  • ※2 SBS(Smart BIM Standard)
    大林組のBIM業務標準。BIM一貫利用を幹とし、プロジェクト関係者が等しく理解できるBIMモデルをつくるための基準。Smart BIM Standardウェブサイトで一般公開している
  • ※3 SmartHAK
    大林組が開発した避難安全検証とBIMをデータ連携し一元化する設計支援システム
  • ※4 SHAREDTIK
    大林組が開発した耐火性能検証とBIMをデータ連携し一元化する設計支援システム
  • ※5 BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)
    国土交通省が制定した「非住宅建築物に係る省エネルギー性能の表示のための評価ガイドライン(2013)」に基づく第三者機関による建築物の省エネルギー性能の評価・表示制度
  • ※6 BEI値(Building Energy Index)
    基準建築物と比較したときの設計建築物の一次エネルギー消費量の比率のことで、数値が少ないほど省エネエネルギー性能が良い
  • ※9 NewHASP
    2012年4月に一般社団法人建築設備技術者協会から公開された高精度な動的熱負荷計算プログラム。空調ゾーンごとに過去一年分の室温・熱負荷の変動の考慮、5種類の夏冬ピーク代表日を周期的に繰り返すと仮定した計算が可能

以上

この件に関するお問い合わせ先
大林組 コーポレート・コミュニケーション室広報課
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