ハイブリッド型苗木生産システムによって育苗したカラマツの苗木290本を初出荷
鳥取県の山林で日南町森林組合と共に大林組社員が植樹
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技術・ソリューション
大林組は、鳥取県日野郡日南町にある「ハイブリッド型苗木生産システム」のパイロットプラントで生産したカラマツの苗木290本を初出荷しました。今回は比較のため、自然光だけで育苗した苗木100本と、大林組技術研究所(東京都清瀬市)の人工光施設で育苗後に日南町の自然光で育苗した苗木100本の総計490本を、日南町の皆伐地(かいばつち)(※1)約3.2haに植林しました。
11月28日には、日南町森林組合による指導・協力のもと、大林組社員も150本の植樹を行いました。

ハイブリッド型苗木生産システムは、育成に必要な光、温度・湿度、培地への潅水などの育成環境を制御できる人工光による育成と、自然光による育成を最適な組み合わせで運用することが可能です。例えば、外的環境の影響を受けやすい種まきから幼苗期は人工光育成を行い、その後、露地栽培による自然光育成に切り換えるなど、季節や植林計画に応じて柔軟に育成を継続できるため、従来の自然光による育成と比較して安定した苗木育成が可能です。
今後は、今回植林した苗木の成長量などについてモニタリングを行います。良質な苗木の安定供給は、国、鳥取県および日南町などが取り組む皆伐再造林(※2)を進め、森林を若返らせることによるCO2吸収能力の向上により、カーボンニュートラルを促進します。


大林組は、Obayashi Sustainability Vision2050を策定し、脱炭素やサステナブル・サプライチェーンの共創などを目指しています。その実現に向けて、木造・木質化建築における循環型ビジネスモデルCircular Timber Construction®(※3)を掲げ、木材の利用推進と、森林の持続的な循環利用に取り組んでいます。
循環利用の中で川上に当たる「植林・育林」においては、苗木の安定供給を目的に2023年に「人工光苗木育成技術」を開発、2024年には人工光と自然光の育成環境を組み合わせた「ハイブリッド型苗木生産システム」を開発し、日南町にパイロットプラントを設置しました。
大林組は、森林資源の持続的な循環利用に寄与することで、カーボンニュートラル、木材サプライチェーンの構築、ウェルビーイングの実現に貢献していきます。
- ※1 皆伐地
一定の区画の樹木を全て伐採した後の土地 - ※2 皆伐再造林
伐採した跡地に再度植林を行うこと - ※3 Circular Timber Construction
木造・木質化建築の推進にとどまらず、大林グループが保有する森林関連の事業実績やノウハウ・知見を活かし、国産木材に関する川上(植林・育林)から川中(加工・調達)、川下(建設、発電、リユース、リサイクル)まで、素材生産~製材~利用~植林という循環サイクル全体を持続可能で最適なものにする自然共生の循環型モデル