ウッドデザイン賞 2025で4作品が受賞

サステナビリティ

日本ウッドデザイン協会が主催するウッドデザイン賞2025において、大林組が携わった2025年日本国際博覧会 大屋根リングが最優秀賞(農林水産大臣賞)を受賞、岩谷産業 神戸研修所キャプション by Hyatt 兜町 東京TAKANAWA GATEWAY CITY THE LINKPILLAR 1がライフスタイルデザイン部門で入賞しました。

ウッドデザイン賞は、木を使うことで社会課題を解決することを「ウッドデザイン」と定義し、木の良さや価値をデザインの力で再構築することを目的に、優れた建築・空間や製品、活動や仕組み、研究などを表彰する顕彰制度で、2015年に創設されました。11回目を迎える今回は、327点の応募の中から選ばれました。

最優秀賞(農林水産大臣賞)

2025年日本国際博覧会 大屋根リング

日本の伝統的な貫(ぬき)接合に、現代の工法を加えて強度を担保した(提供:2025年日本国際博覧会協会 撮影:株式会社伸和)

大阪・関西万博の会場シンボルである「大屋根リング」は、109個の木架構ユニットを円形につないだ幅約30m、高さ約20m、内径約615m、周長約2kmの建築物です。世界最大の木造建築物としてギネス世界記録™にも認定されています。

大林組工区では、四国産ヒノキ、福島産スギなどの国産材を積極的に採用し、3種のユニットタイプ、2種のスパンタイプを組み合わせて「多様でありながら、ひとつ」という大阪・関西万博の理念を表すリングをつくりました。

今回の受賞では、万博来場者のみならず広く国内外に日本の木の文化と技を発信したことや、日本の伝統的な貫接合を採用した「つくりやすく・解体しやすく・リユースしやすい」架構形式で建設したことで、環境負荷を軽減する循環型建築のモデルを示した点が高く評価されました。

木架構が重なり、木・光に囲まれた豊かな日除け空間となったメインストリート「グランドウォーク」
受賞企業 大林組、竹中工務店、清水建設、藤本壮介、2025年日本国際博覧会協会、東畑・梓設計共同企業体

【ライフスタイルデザイン部門 建築・空間分野】入賞

岩谷産業 神戸研修所

低層部は「水面」、高層部は「層雲」をモチーフに、水素のリーディングカンパニーである岩谷産業の企業イメージを表現したファサード(撮影:ヴィブラフォト 浅田美浩)

カーボンニュートラルの未来を拓く多様な人材育成を目的に、兵庫県神戸市の海沿いの立地に計画した研修施設です。

上層階の客室エリアは、眺望を最大化し、周辺の自然と呼応した伸びやかなデザインとしました。下層階の研修エリアには木質の壁やルーバーを各所に設け、木の豊かさを感じられる空間を創出しています。

高層部の木造架構には、耐火木造技術「O・MegaWood(オメガウッド)耐火」を採用し、遮音性能を有する耐火柱や、木造部に地震力を作用させない新接合部も新たに開発。木造と鉄骨造のハイブリッド構造としたことで、客室・研修エリアそれぞれで合理的な建築・構造計画としました。

内部と外部に木質を取り入れ、空間を豊かにしながら、木造部分の機能性向上も実現しました。

海を一望できるエントランスホール。照明を組み込んだランダムな木パネルが空間のアクセントとなる(撮影:ヴィブラフォト 浅田美浩)
受賞企業 大林組

【建築・空間分野 ライフスタイルデザイン部門】入賞

キャプション by Hyatt 兜町 東京

低層部外装にはサステナブルな素材である焼杉を採用し、客室階とは異なる木の魅力を発信している(提供:平和不動産 / 撮影:エスエス)

平和不動産が掲げる「サステナブルな街づくり」を体現するプロジェクトの一環として東京・日本橋兜町に建設した、都市型ホテルです。

中高層ホテル建築では希少な鉄骨と木造を組み合わせた木造ハイブリッド構造で、一部に耐火木造技術「O・MegaWood耐火」を採用しています。木材を使用することで環境負荷を抑えながら、ホテルに求められる機能性や快適性を両立しています。

また、構造材の木造柱・梁が外部から認識できる外観デザインや、開放感あふれる高い天井面の木質化、ウッド調インテリアの採用など、木の魅力が感じられるサステナブルな建物として、都心における中高層木造建築の普及に寄与する先導的な事例となりました。

構造材や外装材への木材利用だけでなく、壁面緑化や外構植栽計画によってもサステナブルな景観を形成(提供:平和不動産 / 撮影:エスエス)
受賞企業 平和不動産、三菱地所設計、大林組

【建築・空間分野 ライフスタイルデザイン部門】入賞

THE LINKPILLAR 1

駅前に広がる、建築と景観が調和する緑豊かな空間は、都市の快適性と回遊性を高めている

東京・高輪の地に誕生した新たな街「TAKANAWA GATEWAY CITY」の一部として、JR山手線・高輪ゲートウェイ駅前に建設された国際交流拠点の象徴となるツインタワーです。

両棟の2階にあるエントランスロビーでは、駅と同様に木材を使用することで、「エキマチ一体」の空間を創出。内部と外部を一体的に捉えた象徴的な木の空間が、多様な来訪者を迎え入れています。

外観デザインのコンセプトは「潮の満ち引き」。かつての海岸線をイメージし、引いては寄せる波の姿を、躍動的に変化し続ける街の姿に見立てました。

人々が集うコンベンションやカンファレンスでは、木ルーバーで「揺らぎ」を演出し、この場所で発信された情報やアイデアが世界へ広がっていくことを目指しています。

天井の木ルーバーの変化と、天井から壁につながるR形状により、動きを表すダイナミックな空間を演出している
受賞企業 品川開発プロジェクト(第1期)設計共同企業体、東日本旅客鉄道、大林組、シェルター

大林組はこれからも、森林資源と経済の循環や国産木材の活用による低炭素化、環境保全による持続可能な社会の構築を目指すとともに、木のある豊かな暮らしの普及・発展に貢献してまいります。