協和キリン宇部工場は、医療用医薬品の研究から製造販売まで手がける協和キリンの経口固形製剤工場です。山口県宇部市内の工場地帯の一角に位置する工場の事業規模拡大に伴い、敷地内に事務所棟を新設しました。高低差のある敷地を活かして誕生したこの事務所棟内部は、建物中央の吹き抜けを中心として、積層するスキップフロア(床の高さをずらすことで、一つの階層の中に複数の高さの床を設ける設計手法)によって構成されています。吹き抜けを介して緩やかにつながったフロアでは、離れたフロアにいるワーカーの様子もうかがえます。さながら、それぞれのフロアは働く人々が主役の「舞台」のよう。
スキップフロアの空間特性を活かし、ワーカー同士のコミュニケーションを活性化するとともに風通しが良いワークプレイスを創出した設計プロセスをご紹介します。
快適な大空間とZEBの達成
開放的で視覚的な連続性のある執務空間は、自然換気計算や気流シミュレーションを実施し、快適で風通しの良い空間となるよう計画しました。
屋外の環境センサにより各フロアの換気促進ランプが点灯し、利用者に換気窓の開閉を促す自然換気システムを導入しています。さらに、昼光センサや高効率設備を採用することでエネルギー消費量を削減し、敷地内に設置した太陽光発電の一部を引き込むことで、「ZEB(※1)」を達成しました。
- ※1 ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)とは、省エネルギーによる50%以上のエネルギー消費量削減に加え、省エネルギー・創エネルギー合わせて100%以上のエネルギー消費量削減を実現する建築物