名古屋駅からほど近い柳橋中央市場の一角に位置する、ソフトウェア開発やITサービスを提供する富士ソフトの自社ビルです。コンパクトな敷地に対し、地下1階、地上14階建て、免震構造のオフィスビルとして誕生しました。
設計にあたり、資産価値を高めて従業員が快適に過ごせるオフィスビルとするために、「重心を基点に支えるやじろべえ構造」「大きく張り出したバルコニー」「意匠・構造・設備を兼ね備えた曲面天井」という3つのコンセプトを掲げました。
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やじろべえ構造 -
バルコニー -
曲面木天井
3つのコンセプトを軸につくり上げたデザインをひも解いてご紹介します。

限られた敷地面積で実現した免震構造

一般的に、免震構造を取り入れるためには、免震装置や基礎構造に必要なスペースを確保する必要があります。災害に強いビルを目指した富士ソフト新名古屋ビルは、限られた敷地面積の中で免震構造を実現しています。
南北外周の柱をセットバックすることで、免震装置の可動域や基礎構造体、それらを施工するための建物周囲に必要なスペースを確保しました。
セットバックにより生じた南北の片持ち構造(一端が支点に固定され、もう一端が自由に浮いている架構構造)が、まるでやじろべえのように釣り合うことで、合理的に構造を成り立たせています。
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コンパクトかつ台形状の敷地 -
北側にコアを、南側にバルコニーを配置し、事務室は正方形に近い平面形状の無柱空間とした -
免震装置の可動域を考慮して柱を内側に配置し、南北部分を片持ち構造とした
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北側(写真左)にコア、南側(写真右)にバルコニーが張り出している -
■:片持ち梁

従業員のウェルネスや安全に寄与するバルコニー

南に向かって大きく張り出したバルコニーは従業員の休憩スペースとして活用できることはもちろん、バルコニーを上下に貫き地上までつながる屋外階段によって安全な避難経路を確保しました。
また、解放感のある積層したバルコニーは、街に開かれたオフィスビルとしての存在感を印象付けます。

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屋外階段は、万が一の出火時にも煙のこもらない安全な避難経路となる -
やじろべえ構造により実現したバルコニーは、安全に避難するための滞留スペースとなる
免震構造に加えて安全な避難経路を確保することで、災害に強いビルを実現しています。
人々を温かく迎え入れる曲面木天井


低層部のバルコニーをうねらせるように持ち上げ、その下のエントランス空間は来訪者を温かく迎えるユニークなデザインとしています。





