2023年度グッドデザイン賞を受賞しました

サステナビリティ

日本デザイン振興会が主催する「2023年度グッドデザイン賞」において、大林組が手がけたエスコンフィールドHOKKAIDOがグッドデザイン・ベスト100を受賞、大林組仙台梅田寮富士ソフト新名古屋ビル箕面市立文化芸能劇場/箕面市立船場図書館/箕面市立船場生涯学習センターの3作品がグッドデザイン賞を受賞しました。

グッドデザイン賞は、1957年に創設された日本で唯一の総合的なデザイン賞です。複雑化する社会において、課題の解決や新たなテーマの発見にデザインへの期待がますます高まっています。そうした時代にあってグッドデザイン賞は、製品、建築、ソフトウェア、システム、サービスなど、かたちのあるなしにかかわらず、人が何らかの理想や目的を果たすために築いたものごとをデザインと捉え、評価・顕彰しています。

エスコンフィールドHOKKAIDO 【グッドデザイン・ベスト100】

(撮影:川澄・小林研二写真事務所)

2023年3月、北海道北広島市にエスコンフィールドHOKKAIDOとして開業した日本初開閉式屋根付き天然芝球場です。収容人数は約3万5,000人で、1~3階に観客席を配置。芝の育成を促すため南側は一面のガラス壁を採用しています。360°回れるコンコースや世界最大級の大型ビジョンなどかつてない多様な観戦環境を実現しました。

<審査委員の評価>
日本初の本格的な民設民営のボールパークである。すべての空間がファンに愛されるために創られており、すべての運営がファンを喜ばせるために行われている。地域に愛されるプロフェッショナルベースボールであり続けるために、地域を喜ばせるプロフェッショナルボールパークを創り出したわけである。高い志をもって一大事業を成し遂げた関係者一同の熱意にただただ敬服するしかない。本施設を訪れた評者も、老若男女問わず誰もが楽しそうに過ごす光景を目の当たりにして初めて、日本にもようやく本物のスポーツエンターテイメント施設が誕生したことに思い至る。ファイターズファンならずとも、ぜひ足を運ばれることをお薦めしたい施設である。

大林組仙台梅田寮

(撮影:エスエス 走出直道)

閑静な住宅地に佇む社員寮が、3階建ての木造ハイブリッド構造で生まれ変わりました。杜の都ともいわれる仙台での寮生活が、より豊かな時間になるよう、木のぬくもりや、光・風・緑などの自然を空間に取り込み、住まう人の心身の健康に寄与するデザインとしています。

<審査委員の評価>
公共的な中大規模建築物の木造化の流れは近年加速しており、それに伴い工法の技術開発や性能面での高い裏付けが求められている。この寮は大手ゼネコンの社員寮であり、CLTユニット工法としての新技術の開発、高い遮音性能の確保など、自社の技術力が存分に活かされ、細部まで丁寧にデザインされた計画となっている。また、福島県の林業を支援する取り組みがなされており、社会をけん引する企業としての意識の高さがうかがえる。CLT工法は比較的新しい工法であるため、経年変化を継続的に調査し、得られた知見を広く共有していくことが今後の普及につながると思う。「汎用性・普及性」のあるモデルであるからこそ、ここから自社設計施工の枠組みを超える広がりを生み出してくれることを期待している。

富士ソフト新名古屋ビル

(撮影:エスエス 走出直道)

台形の敷地を活かした積層するバルコニーのある富士ソフト新名古屋ビルは、従業員に開放的な外部空間をもたらすとともに、街に賑わいを表出するファサードを形成しています。曲面を描くバルコニーの上部は人々の活動の場となる大階段として利用され、下部は来訪者を暖かく迎え入れるエントランス空間としています。

<審査委員の評価>
従業員の心身の健康を守ることは、現代の企業にとって必須となっていることは言うまでもない。都市部では窓の開かないオフィスがほとんどで、太陽の光を浴び、風を感じながら深呼吸をすることがいかに心身の健康育む上で大切なことなのかを、昼休みにだけ感じる人も少なくない。バルコニーを作り、掃き出し窓を開けることに惜しみなくコストをかける決断を下した企業の従業員への愛情が読み取れる。敷地形状を上手に利用し、街に対して美しい外観を提供しながら、人的投資を果敢に行うデザインをグッドデザインと評価する。

箕面市立文化芸能劇場/箕面市立船場図書館/箕面市立船場生涯学習センター

(撮影:川澄・小林研二写真事務所)

2024年春開業予定の「箕面船場阪大前駅」周辺のまちづくりの中心となる公共施設を建設しました。国内初となる大学図書館の機能を持った箕面市立船場図書館のほか、船場生涯学習センター、文化芸能劇場、箕面船場駐車場から成る複合施設で、箕面(みのお)の名の由来である「箕(み)」(穀物の選別の際に殻や塵を取り除くための容器)をモチーフにした内外装が特徴です。隣接する船場広場(メインデッキ)、箕面船場第一駐輪場と連続した計画となっています。

<審査委員の評価>
建物の表層は人の心理に影響し、行動にも影響を与える。そんな表層の効果が、密度の高い設計で追求されている。内外ともによく考えられた表層が、内部と外部との隔絶感を減らしている。街から眼にしたときにも、巨大で明快な異物としてあるのではなく、内側で行われていることに興味を抱かせる。とりわけホールの内部は、繊細でありながら感銘を与える空間であり、イベントの体験をより市民の心に刻まれるものにするだろう。こうした細部への配慮とプランニングの工夫とが相乗効果をもたらしている。

大林組は建設を通じて、デザインにできること・デザインが活かされる領域を広げ、一人ひとりが豊かに創造的に生きられる社会づくりに貢献していきます。