本町ガーデンシティテラスは、大阪市の都心部を南北に走るメインストリート・御堂筋に面する、地下2階、地上19階建てのテナントオフィスビルです。低層部に広がる緑豊かな「グリーンテラス」は街並みに新たな潤いを重ね、地下に設けたサンクンガーデン(周囲より一段低くなった広場や庭園)は大阪メトロ御堂筋線・本町駅とつながり、緑や光を地下へと導きます。
風に揺れる緑、差し込む光、季節の移ろい――この場所は、働く人にリビングのようなくつろぎをもたらします。
都市と自然が響き合う新しい風景。その設計手法をひもといてご紹介します。
- ※1 地区計画による外形ライン
御堂筋にふさわしいまちなみ創造に向けて、本町ガーデンシティテラスが立つエリアの地区計画では、建物高さ50m以下の部分は敷地境界線から4m、高さ50m以上の部分は8m以上後退した位置に壁面を設けるように定められている
都市に重ねる緑の居場所・グリーンテラス
低層部のオフィス階には、緑あふれる屋外スペースを計画し、「グリーンテラス」と名付けました。
御堂筋の均整の取れた街並みに寄り添うように、グリーンテラスの外周には生け垣状の植栽を連ねました。建物内部には中木・低木・家具をランダムに配置し、視線が抜けることによる広がりや室内からの見え方に変化を持たせたことで、働く人に自由で快適な働き方を促します。季節ごとに香りや光の角度、風の肌ざわりが移ろい、昼夜や春夏秋冬の違いを体で感じる空間を目指しました。
御堂筋と地下空間を緑と光でつなぐ
地上のイチョウ並木から地下へと、緑と光が連続するように計画しました。エントランスと一体化した半屋外のサンクンガーデンは、季節の風や自然光を地下空間へと引き込み、大阪メトロ御堂筋線・本町駅への連絡通路としても機能します。都市の歩行者空間、グリーンテラス、サンクンガーデン、そして建築内部の緑が縦に重なり、街に開かれた立体的な緑をつくり出しています。
地下にいながら自然を感じる体験が、都市の風景に新たな奥行きを与えます。
片持ち構造で街に開く
グリーンテラスは、建物から約4m張り出す片持ち構造(一端が支点に固定され、もう一端が自由に浮いている架構構造)で設計しました。
窓際から2mの範囲には鉄筋コンクリートの床を設け、人が自由に出入りできるスペースに。先端には床をつくらず植栽だけを配して装飾部として扱うことで、グリーンテラス全体を容積率不算入(建物の延べ床面積に算入しない)とし、オフィスの面積を最大限確保しました。
また、片持ち構造を採用したことで先端に柱を設ける必要がなくなり、低層部は開放的な空間を実現しています。
環境性能と生き物の居場所を重ねるデザイン
グリーンテラスの植栽は、大阪に自生する樹種を中心に、四季の変化が感じられる多様な樹種を選定しました。都市に緑を増やすだけでなく、生き物が訪れる場所をつくるため、鳥や虫が好む木を適所に配して都市の中に小さな生態系を生み出しました。テラスの緑は御堂筋の街路樹と重なり、緑のネットワークを編み直す役割を担います。
環境性能面では、グリーンテラスの植栽やひさし形状によって日射を適度に抑えながら室内に柔らかな光を供給。空調負荷の低減や昼光制御による照明エネルギー削減、その他さまざまな省エネルギー性能を組み合わせて1次エネルギー消費量を40%以上削減し、ZEB Oriented を取得しました。
景観と環境性能を重ねたこの設計は、都市に緑を重ねるだけでなく、働く場に持続可能性と快適さをもたらします。
木と光がつくる優しいオフィス
緑豊かなテラスとともに、木を基調とした柔らかなデザインを各所に採用しました。緑と光、木の温もりが重なる快適なオフィス空間を実現しました。
緑と光を重ね、都市と人に新しい風景を描いた本町ガーデンシティテラスは、これからも時の移ろいとともに、街に静かな豊かさを重ねていきます。