バングラデシュ3橋プロジェクトとスリムファスナーがエンジニアリング功労者賞を受賞
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サステナビリティ
エンジニアリング協会が主催する2021年度「第41回エンジニアリング功労者賞」が発表され、大林組のプロジェクトが2部門で受賞しました。
エンジニアリング功労者賞は、ゼネコンやエンジニアリング、鉄鋼、造船などの多様な分野の企業・団体から推薦を募り決定されるもので、エンジニアリング産業の発展に貢献したグループと個人に贈られます。今年度はグループ表彰14件が選出されました。
国際貢献部門
カチプール・メグナ・グムティ新橋建設及び既存橋改修工事チーム(大林組、清水建設、JFEエンジニアリング、IHIインフラシ ステム)
バングラデシュの首都ダッカと重要港湾がある第2の都市チッタゴンを結ぶ国道1号線は、経済成長が目覚ましい同国の最重要幹線道路です。近年の交通量の急増により渋滞が深刻化し、橋梁の劣化も進んでいたことから、日本の有償資金協力のもと、カチプール・メグナ・グムティ3橋の新橋建設と既存橋の改修・補強工事を実施しました。
新旧の橋脚を支えるために、バングラデシュで初めて鋼管矢板井筒基礎工法を採用しました。新橋の上部工では、鋼細幅箱桁と合成床版を組み合わせて適用し、送り出し工法によって安全に、短期間で橋を架設しました。また、本改修・補強工事により、既存橋の安全性能を大きく向上させました。
2020年1月の新橋・既存橋の全面開通によって交通事情は大きく改善され、ダッカ・チッタゴン間の所要時間は約10時間から5時間へと短縮しました。プロジェクトの成功を経て、バングラデシュではダッカ・チッタゴン間の高速道路や高速鉄道の計画・調査が開始されており、ダッカ市内のメトロ建設も計画されています。
今回の受賞では、本工事がバングラデシュの経済発展の契機となり、現地エンジニアの育成にも貢献したプロジェクトであるとして、高く評価されました。
エンジニアリング振興部門
急増している高速道路の老朽化床版の短工期取替プロジェクトチーム(大林組)
老朽化した高速道路のコンクリート床版取り替え工事において、プレキャスト床版接合部の間詰材に、超高強度繊維補強コンクリート(UFC:Ultra high strength Fiber reinforced Concrete)を使用した「スリムファスナー®」を開発・適用し、工事の工程短縮と接合部の品質向上を実現しました。
UFCには熱養生なしで高い強度を発揮する大林組の開発技術「スリムクリート®」を使用することで、接合部内の追加補強筋を不要とし、接合幅を従来工法の50%に縮減しました。
接合面に凹凸形状のマルチせん断キーを設け、プレキャスト床版と間詰材との付着性を強め、接合面の目開きを防止。接合部の耐久性を高めました。
今回の開発・適用により、現地における大規模なUFCの製造、運搬、打設、養生の先駆けとなったこと、スリムファスナーが今後、他の場所打ちUFCの現場にも適用できることなどがエンジニアリングの振興に貢献したとして高く評価されました。
大林組は、これからも技術と知恵を結集したエンジニアリングによって、国内はもとより海外においても安全に安心して暮らせる街づくりに努め、社会的課題の解決に貢献していきます。