国内外でのグリーン水素サプライチェーン構築の取り組みが新エネ大賞を受賞しました

大分県九重町での国内初となる地熱を活用したグリーン水素の製造から供給まで地産地消をめざしたプロジェクトと ニュージーランドのグリーン水素サプライチェーン構想

サステナビリティ

一般財団法人新エネルギー財団が主催する令和4年度「新エネ大賞」において、大林組が大分県九重町とニュージーランドで行う地熱を活用したグリーン水素サプライチェーン構築の取り組みが、資源エネルギー庁長官賞を受賞しました。

新エネ大賞は、国による「2050年カーボンニュートラル宣言(2020年10月)以来、再生可能エネルギーの最大限導入の方針が示される中、新エネルギー(※1)にかかわる開発、設備の導入、分散型新エネルギー(※2)の活用および地域に根差した導入の取り組みなどを公募し、優れた事例を表彰するものです。

経済産業省資源エネルギー庁 省エネルギー・新エネルギー部長 井上博雄氏(左)から表彰盾を授与される大林組常務執行役員 安藤(右)

【分散型新エネルギー先端モデル部門】資源エネルギー庁長官賞

地熱を活用したグリーン水素サプライチェーン構築の取り組み

大分県九重町の水素製造プラント(10Nm3/時、0.9kg/時)。山間部では地熱井があっても送電網への接続が難しい場合がある
(撮影:株式会社クアッド)
世界有数の地熱発電大国であるニュージーランドに建設した水素製造プラント(250Nm3/時、22.5kg/時、年間最大180t)。地熱発電が盛んな北島中央部のタウポにある

太陽光や風力などの再エネは季節、天候、時間帯によって発電しないという不安定性が課題となっています。設備利用率は、太陽光12%、風力20%とされる中、地熱は80%と高く、一年を通じて安定的に電源を確保できますが、国内の資源量は世界第3位でありながら設備容量は第9位にとどまっていることから、一層の普及が期待されています。

今回応募した事業は、再エネのさらなる活用をめざし、地熱エネルギーを用いて水素を製造するとともに、需要家に供給するまで一連のサプライチェーン構築に取り組んでいるものです。大分県九重町とニュージーランドの2つの事業で受賞しました。

今回の受賞では以下の点が高く評価されました。

  • 系統連系(※3)が難しい山間部という立地条件を、貯蔵性・搬送性に優れた水素へのエネルギー転換することで需要家と提携し、地産地消モデルのサプライチェーンを構築する取り組みであること
  • 地熱ポテンシャルの高いニュージーランドにおいて、現地企業と協同し、地熱発電による水素製造量の拡大と、水素価格の低減に向けた取り組みであること
地熱利用の新モデル水素製造事業。地熱電力から「運べるエネルギー」として水素を製造し、送電線を介さずに需要地まで運搬します

ニュージーランドでの事業にあたっては、現地企業と事業会社「Halcyon Power Ltd.(※4)」を設立し、共同でプラントの運営と需要創出活動を行っています

これからも大林組は、地域の皆様のご理解とご協力を頂きながら、貴重な地下資源である地熱を利用したグリーン水素事業を推進し、水素のコストの低減や汎用性の高い供給網の確立をめざすとともに、脱炭素社会の実現に貢献してまいります。

  • ※1 新エネルギー
    太陽光、風力、バイオマス、水力、地熱などの再生可能エネルギーに加え、その他の水素・燃料電池、クリーンエネルギー自動車、エネルギーマネジメントシステムなどエネルギー利用分野も含む
  • ※2 分散型新エネルギー
    再生可能エネルギー以外に水素・燃料電池分野、エネルギーマネージメント分野、スマートコミュニティ分野、クリーンエネルギー自動車等を含む種々の分野が考えられる
  • ※3 系統連系
    発電した電気を送るために、電力会社の送配電網に接続すること
  • ※4 事業会社「Halcyon Power Ltd.」(ハルシオンパワー)
    グリーン水素サプライチェーンの成立可能性を検証するため、大林組とトゥアロパキ・トラストが共同出資し2018年に設立した現地法人。グリーン水素の製造だけでなく、輸送から供給までのサプライチェーン全体を構築し、各段階での技術的、制度的課題とともにコストや社会受容性の把握を通じて、グリーン水素の普及拡大を目的としている