低炭素型コンクリート「クリーンクリート®」を新丸山ダム建設工事で国内最大規模の打設開始

ソリューション/テクノロジー

大林組は新丸山ダム本体建設第1期工事(岐阜県加茂郡八百津町、可児郡御嵩町)において、低炭素型コンクリート「クリーンクリート」の国内土木工事最大規模での打設を開始しました。

新丸山ダムの下流締切工(左)と既設丸山ダム仮排水路トンネル閉塞(へいそく)工(右)でクリーンクリートを打設(オレンジ色が適用部分)

クリーンクリートは、セメントの代わりに産業副産物である高炉スラグ微粉末を大量に活用することで、CO2排出量を最大80%削減可能なコンクリートです。また、製造に特殊な設備は不要で、現場打設とプレキャスト製品の両方に適用できる高い汎用性があることも特長です。2010年の開発以降、90件以上の建設現場で適用され、累計打設量は約37万m³(2023年1月時点)と、低炭素型コンクリートの国内市場シェア6割を占める実績があります。

新丸山ダム本体建設第1期工事は、既存の丸山ダムの洪水調節機能と発電能力の拡大を図るとともに、下流の河川環境を保全するため、ダムの機能を活かしながら、20.2mかさ上げして新設ダムを構築する日本初の高難度なプロジェクトです。また、既存ダムと新設ダムの一部が重なる構造形式で、国内では前例がなく、技術的に先駆的なダムとなります。

今回の工事においてクリーンクリートを適用するのは、下流締切工と既設丸山ダム仮排水路トンネル閉塞(へいそく)工で、打設予定数量の合計は約1万5,500m³です。これは国内土木工事では最大規模の使用量であり、CO2排出量削減効果は約2,800tと試算されます。2023年10月から下流締切工でのクリーンクリート打設を開始しました。

なお、約2,800tのCO2削減効果は、約1,500人が1年間に家庭から排出する量に相当し、八百津町の住民の15%、御嵩町の住民の9%に当たります。

下流締切工へのクリーンクリート打設状況

大林組はクリーンクリートに加えて、その発展形であるCO2排出量を100~120%削減する「クリーンクリートN®」や、木質バイオマスを活用した「リグニンクリート®」を開発しています。これらの技術を含めたさまざまな技術を組み合せて、さらなるコンクリートのCO2排出量削減および固定化に取り組み、建設業界のカーボンニュートラル推進に先導的な役割を果たすことで、健全かつサステナブルなインフラ構築に貢献していきます。

工事概要

工事名称 令和2年度 新丸山ダム本体建設第1期工事
施工場所 右岸:岐阜県加茂郡八百津町、左岸:岐阜県可児郡御嵩町
発注 国土交通省中部地方整備局
工期 2021(令和3)年1月29日~2025(令和7)年3月31日
施工 大林・大本・市川建設工事共同企業体
ダム概要 形式:重力式コンクリートダム
堤高:118.4m
堤頂長:340.6m