カーボンネガティブを実現する「クリーンクリートN®」をプレキャストコンクリートカーテンウォールに初適用

技術・ソリューション

大林グループは、「Obayashi Sustainability Vision 2050」において目標の一つに「脱炭素」を掲げ、「カーボンニュートラル」を実現するための具体的な取り組みを推進しています。

その一環として大林組は、CO2排出量が実質ゼロより少ないカーボンネガティブを実現できるコンクリート「クリーンクリートN」を2022年に開発し、2023年3月に現場打ちの外壁に初適用しています。このたび、クリーンクリートNをプレキャストコンクリートカーテンウォール(PCカーテンウォール)(※1)に初めて適用しました。

クリーンクリートNは、セメントの大部分をCO2排出量の少ない高炉スラグ微粉末などの混和材に置換することで製造時のCO2排出量を最大で80%削減する「クリーンクリート®」の技術を発展させたもので、クリーンクリートにCO2を吸収・固定化した粉体を混ぜ合わせることで、CO2排出量を最大120%削減するコンクリートです。なお、クリーンクリートNの2022年度の適用実績は、環境配慮型コンクリートの一つとして環境省によってCO2固定量が世界で初めて算定され、国連に報告されています。

クリーンクリートNによるPCカーテンウォールを適用した建物の外観

今回、建物全てのPCカーテンウォールにクリーンクリートNを適用しました。さらに表面には変色、劣化を防ぐ高耐候性のクリヤ塗料である「シェルトクリヤ®」(※2)を塗布して仕上げました。

クリーンクリートNは通常のコンクリートよりも白っぽくなる特徴があります。シェルトクリヤの高い保護効果により、この白さを保つとともに中性化の進行が早いという低炭素型のコンクリートの弱点を克服しています。曲面形状のある白い外壁とシェルトクリヤとの組み合わせによって、全体的に柔らかな印象の外観を実現しています。

クリーンクリートNの使用量は約28m³で、今回の適用によって約8.3tの CO2排出量を削減したことになります。

今後も大林組は、低炭素型のコンクリート「クリーンクリート」やカーボンネガティブを実現できる「クリーンクリートN」など、さまざまな環境技術の適用事例を増やすことで、脱炭素社会の実現に貢献してまいります。

  • ※1 工場製作したコンクリート製の外壁材
  • ※2 シェルトクリヤ
    コンクリート打ち放し面の意匠性を保持しつつ、表面をコーティングし、鉄筋コンクリート構造物の耐久性を向上させるクリヤ塗料。紫外線に強く、効果が長期的に持続する