日建連表彰2023「BCS賞」「土木賞」を受賞

サステナビリティ

日本建設業連合会が主催する「日建連表彰2023」において、大林組の自社研修施設「Port Plus」がBCS賞を、大林組が建設工事に携わった「天ヶ瀬ダム再開発トンネル減勢池部建設工事 (Ⅰ期~Ⅲ期)」、「北陸新幹線 福井開発高架橋建設プロジェクト」、「中央自動車道上田川橋の床版取替え」の3件が土木賞を受賞しました。

日建連表彰は、建築部門のBCS賞、土木部門の土木賞の2部門で構成される表彰制度です。BCS賞は、文化の発展と地球環境の保全に寄与することを目的に優良な建築物を、土木賞は、国民生活と産業活動の基盤の充実に寄与することを目的に優良なプロジェクトや構造物を表彰するものです。

今年で第64回を迎えるBCS賞は、74件の応募の中から15件が選出され、第4回となる土木賞には37件の応募の中から12件(特別賞2件を含む)が選ばれました。

第64回BCS賞

Port Plus

Port Plusは神奈川県横浜市に建設した、大林組の次世代型研修施設です。純木造耐火建築物としては、国内最高となる高さ44m(11階建て)を実現しています。

建築物への木材利用は、コンクリートや鉄を減らすことによりCO2排出量を削減し、さらに木材がCO2を吸収して炭素を固定することにより脱炭素に貢献します。「使う・植える・育てる」という森林資源循環の観点からも注目されています。大林組は、木材利用促進につながる木造建築の可能性を広げるため、高い技術が求められる高層純木造建築を建設しました。

安全面では、「オメガウッド(耐火)」を採用して耐火性能を確保し、鉄骨造やRC造と変わらない耐震性能を持つ「LVL剛接十字仕口ユニット」を開発するなど、木造建築の持つ課題を解決しました。

また、健康やウェルネスの観点から建物を評価するWELL認証プラチナ、WELL Health-Safety Rating、省エネルギーや環境影響を総合評価するLEED認証ゴールド、ZEB-Readyを取得しています。

今回の受賞では、森林循環の活性化と炭素固定量の増大に取り組み、地上部の構造部材をすべて木造とした高層純木造耐火建築物の建設に挑み完成させたこと、耐火・耐震性能の実験検証、施工の実大モックアップ検証など、数多くの技術開発により実現したことが高く評価されました。

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柱・梁などの木架構がそのまま見えるダブルスキンファサードの外観
建築主 大林組
設計者 大林組
施工者 大林組

第4回土木賞

天ヶ瀬ダム再開発トンネル減勢池部建設工事 (Ⅰ期~Ⅲ期)

京都府宇治市にある天ヶ瀬ダムは、1964年に建設された多目的ダムです。天ヶ瀬ダム再開発事業は、治水機能の向上を主目的としてダムの放流能力を増強するため、国内で初めてトンネル式放流設備を建設するものです。トンネル減勢池部は、主ゲートから放流される高圧・多量の水を宇治川へ流す前に流水の勢いを抑える役割を担っています。

今回の工事は、高さ約26m、幅約23m、内空断面積500m²という日本最大級の水路トンネルの構築です。トンネル掘削時に、当初の想定を上回る幅14mの破砕帯(※1)が確認され、大規模な対策工事を実施。さまざまな技術の採用により、破砕帯対策工事に伴う工期の遅れを防ぐこともできました。

今回の受賞では、想定を上回る破砕帯に遭遇しながらも国内初のトンネル型減勢工を建築し、早期の通水を実現したことが評価されました。

  • ※1 粘土分を多く含む軟弱で崩れやすい地質のこと
工期遅延を挽回したトンネル覆工用の特殊型枠
トンネル減勢池の吐口部(写真右側)
施設管理者 国土交通省近畿地方整備局
設計者 大林組、飛鳥建設
施工者 大林組、飛鳥建設

北陸新幹線 福井開発高架橋建設プロジェクト

北陸新幹線 金沢~敦賀間の工事のうち、福井駅の北方に伸びる約2.3kmの鉄道高架橋を構築しました。

今回の工事では、高層建築用に開発したLRV工法を鉄道構造物に応用する技術を開発し、鉄道高架橋にはじめて採用されました。これにより、現場でのコンクリート打設が不要となり、柱梁構造のフルプレキャスト施工が可能となりました。

高架橋にLRV工法を適用するにあたり、工事開始の1年前から試験工事を実施。プレキャスト部材の標準化、プレキャスト施工に配慮した高架橋形状の変更、3次元計測システムの導入など工期短縮、安全性確保に向けて取り組みました。

今回の受賞では、JR北陸本線とえちぜん鉄道に挟まれた営業線近接区間において、適切なプロジェクト管理と新技術の導入により、スピード施工と無事故達成が高く評価されました。

LRV工法によるプレキャスト仕口部材の据え付け
JR北陸本線(当該区間は2024年3月に「ハピラインふくい」として開業)とえちぜん鉄道に挟まれた建設現場
施設管理者 鉄道建設・運輸施設整備支援機構北陸新幹線建設局
設計者 日本交通技術
施工者 大林組、名工建設、道端組

中央自動車道上田川橋の床版取替え

供用開始から約50年が経過した、中央自動車道の長野・園原IC~岐阜・中津川IC間での柳樽川橋他9橋橋梁補修工事において、PC(プレストレストコンクリート)合成桁橋である上田川橋の床版リニューアル工事を行いました。

今回、オールプレキャスト(工場製作)によるPC合成桁橋の床版取替え技術「キャップスラブ®工法」を開発し、国内で初めて適用するなど、複数のプレキャスト技術を活用し、従来工法より3倍速いスピードで完成しました。

キャップスラブ®工法は急速施工だけではなく、高速道路の品質・耐久性向上や、維持管理コストの縮減も期待できるものです。

今回の受賞では、急速施工の実現による560日の工期短縮や、長期耐久性、維持管理性の向上により良質な社会資本が創出できたことが認められました。また、オールプレキャストとすることで対面通行規制期間を3分の1に縮減したことも評価されました。

工事完了時の上田川橋下面
キャップスラブ工法によるプレキャストPC床版の架設状況
施設管理者 中日本高速道路
設計者 大林組
施工者 大林組、JFEエンジニアリング

大林組は今後も、建設プロセスに関わるすべての関係者と良好な関係を築き、良質な社会基盤の創出や心地よい空間づくりに努めるとともに、安全で安心な暮らし、建設技術の発展に貢献してまいります。