緑豊かな環境
生物多様性の保全と心地よい緑地利用の促進
大林組では、多様性に富んだ生態系を保全・創出する事業を行っています。商業施設やオフィスビルなどの緑地の利用時に、心地よさを促進する技術を研究開発するとともに、自社の事業活動の各フェーズにおいて、建設現場や周辺地域に対する環境負荷の回避または低減する技術開発に取り組んでいます。
生態系の保全
建設工事現場では、希少種などの保全対象種の生育が確認された場合、その生態系の保全措置が検討されます。例えばクマタカなどの希少猛禽類の営巣が現場付近で確認された場合は、営巣・抱卵期を避けて工事期間を変更するなどの保全計画を立案し、その保全計画に基づいた施工計画を立て、確実な保全対策を実施します。一般的には、工事前や工事中にモニタリングが行われることが多いものの、大林組では複数の現場において竣工後のモニタリング調査を行い、必要に応じてさらなる環境整備を実施しています。また東京都清瀬市にある技術研究所内の雑木林では、国の絶滅危惧Ⅱ類に指定されるキンランをはじめとした希少な植物が生育しており、その生態に関する研究を継続的に行っています。技術研究所内の雑木林は2023年に環境省から「自然共生サイト」に認定され、地域の生物多様性の拠点として今後も保全・管理を行っていきます。
生物多様性の創出(ネイチャーポジティブ)
近年、生物多様性の減少を止めるだけでなく、回復させていく「ネイチャーポジティブ」という概念が注目を集めています。都市内の再開発などでは大規模な緑地が創出されることが多く、これらの緑地がネイチャーポジティブに貢献することが期待されています。大林組では、当社施工物件を含む複数の都市緑地において生物調査を行うことで、生物多様性の定量評価を行うとともに、それを設計に活かすツールを開発し、都市内での生物多様性の創出を促進させています。また、日本において激減している在来の草原生植物を利用した草地のビオトープの創出に関する研究を進め、企業の敷地内などでネイチャーポジティブを実践していくことをめざしています。
快適な緑地の創出に関する研究
緑地は多様な機能を持ちますが、利用者のQOL(クオリティ・オブ・ライフ;生活の質)の向上も重要な機能の一つです。大林組では、利用者にとって快適な緑地の創出に関する知見を得るため、既存緑地の利用者の行動や嗜好に関する研究を行っています。