埼玉県ふじみ野市にある内外テクノスのメイン工場と事務所を建て替えました。大林グループである内外テクノスは、一品生産を主軸とし、伝統建築からホテルまで幅広い建築物の木造作工事を行う会社で、大小さまざまな制作に対応するフレキシブルな大空間が必要とされました。ほぼすべての工程を人の手で行うため、「つくること」のみならず「つくる人」のために快適な環境をつくりたいという思いを共有するところから建て替えプロジェクトはスタートしました。
さらに、住宅や大学が建ち並ぶ郊外において、周辺環境に調和する新たな工場の在り方を徹底的に検討しました。勾配屋根により建物ボリュームを抑え、正面道路に面する部分は植栽により緩やかな境界とし、地域に開かれた、人と環境に優しい木造建築をめざしました。
この工場は大規模木造建築物に位置付けられますが、準耐火建築物(※1)を適用し、木質空間の温かみを残しつつも、生産に必要な大空間を実現しました。郊外の工場建築において大規模木造を実現したことで、さらなる木造建築の普及の可能性を提示するものです。
※1 準耐火建築物
耐火建築物以外の建築物のうち、その主要構造部(壁、柱、床、梁、屋根、階段)が準耐火性能を満たし、かつ、延焼の恐れのある開口部(窓やドア)に防火戸など、火災を遮る設備を有する建築物