大林芳五郎傳

1940年に刊行された「大林芳五郎傳」を電子化して収録しています。
なお、社名・施設名などは、刊行時の表記のままとしていますので、あらかじめご了解下さい。

第二編 本記

三十七 伏見桃山東御陵の造營 五十一歳

大正三年四月十一日 明治天皇の皇后として坤德(こんとく)比ひなく在せし 照憲皇太后陛下崩御遊ばされ、伏見桃山東御陵に斂葬(れんそう)し奉つた。大喪使は、先帝の時と同じく御造營工事を大林組に御下命あらせられ、故人は重ねての榮譽に、眞にこれ家門の譽れ子々孫々の誇りなりとし感泣以て直ちに恩命を拜し、工を起したのが同月十六日であつた。

桃山東御陵の造營は大體に於て 明治天皇の御陵工事に準じて大喪使の命のまゝに施工したことはいふまでもない。同年五月二十日に竣成し、五月二十六日に斂葬し奉つた。更に同年八月二十八日より宮内省内匠寮に所管が移され、神殿補設その他の工事を施し、同年十二月二十日を以て完成を告げたのであつた。この外御大喪に際しては東京代々木御齋場に接續すべき東京鐵道管理局の假支線、假停車場、上家等の工事をも名ぜられ、これ亦滯りなく竣成したのであつた。

伏見桃山東御陵
伏見桃山東御陵
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