大林組100年史

1993年に刊行された「大林組百年史」を電子化して収録しています(1991年以降の工事と資料編を除く)。
なお、社名・施設名などは、刊行時の表記のままとしていますので、あらかじめご了解下さい。

11 創業90年を迎えて

■―ともに新たなスタートを

昭和56年(1981)に当社は創業90年を迎え、10月23日記念式典および記念行事を挙行した。

大林家墓所における墓前祭、生國魂神社における神前祭の後、午前10時30分大阪大林ビル27階講堂で記念式典を開催し、冒頭、大林社長は幾多の危機を乗り越えて今日の隆盛に至った当社90年の歴史を回顧し、次のように挨拶した。(要旨)

「初代社長は時勢のおもむくところをよく洞察し、敢然と大工事に取り組んでこれを仕上げ、得意先の信頼を得るとともに、業界の旧弊打破に血のにじむような努力を重ねた結果、わずか20数年にして全国の一流業者の地位を確保するに至ったのであります。

さらに当社は大正、昭和を通じ国の内外で幾多の大工事、難工事を克服し、その地位を不動のものとしましたが、終戦により厳しい試練の場に立たされました。昭和28年糠平ダム工事を受注し、社運を賭する大工事をみごとに完成し、戦後における、とくに土木部門の発展の契機としました。

48年のオイル・ショックを契機とし、52年には戦後最大の不況に陥り、さらに第2次オイル・ショックが起きるなど、深刻な局面となりましたが、53年度を底として回復に向かい、体質は着々と改善され、業績は向上に向かっております。

ひるがえって、わが国産業界は非常な速さで質的変革をなしつつあり、わが国は技術立国を目指し、大きく産業構造が変わることは明らかであります。このような客観情勢に対応し、建設業のあり方も質的な変革を迫られております。すなわち、従来の単体工事の請負のみにとどまらず、企画、総合設計、施工、保守から、これらの管理、さらにはファイナンス、テナントの斡旋に至るまでのエンジニアリング・コントラクターとしての業務、あるいはコンストラクション・マネジメントの分野に及んでおり、当社もそれに対応する体制、技術、ノウハウの取得が必須であります。

私どもは常に柔軟な思考と、諸先輩から受け継いだ積極果敢な行動力、誠実と和の精神をもって、一致団結して事に当たり、着実な成果を積み重ねて、これを後輩に引き継いでいかねばなりません。

役職員の皆さん、きたるべき創業百年さらに次世代の21世紀を展望し、勇気をもって未来を切り開いていこうではありませんか。道は私どもの前に大きく拡がっております。」

夕映えの中に浮かぶ創業“九〇”年(大阪大林ビル)
夕映えの中に浮かぶ創業“九〇”年(大阪大林ビル)
日本赤十字社・林社長に寄付の目録を手渡す大林社長
日本赤十字社・林社長に寄付の目録を手渡す大林社長

■―式典と記念行事

社長式辞に続き、関係会社代表として長沼大林道路社長が、林友会連合会を代表して松村連合会会長が、それぞれ祝辞を述べた。次いで40年以上の勤続者(下記16名)の表彰式に移った。

岡田 正、谷口尚武、岡田幾太郎、倉田善次郎、大林芳茂、田中謹二、懸山良雄、鈴木益男、石田慶一、清水光一、倉知 巧、米納輝男、久保内志瑳男、東海林英太郎、柳原辰郎、松原芳夫

被表彰者を代表して岡田副社長が謝辞を述べた。大林組愛唱歌の斉唱、「大林組万歳」三唱をもって式典を終了し、祝宴に移った。この日、記念式典は東京本社をはじめ国内、海外各事業所においても、本店式場と同時刻を期し、ほぼ同様の式次第で挙行された。

式典当日は全従業員に記念品を交付した。また、56年度決算にあたっては普通配当(年12%)のほか、年3%の特別配当を行った。さらに他の記念行事に代え、NHK厚生文化事業団と日本赤十字社にそれぞれ5,000万円、計1億円を寄付した。

創業90年記念ボールペン
創業90年記念ボールペン
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