東京本社に関する改正のあらましは次のとおりである。
●営業本部
従来の建築本部の営業関連業務を集約するとともに、民間の土木工事の営業をも含めた総合的な営業業務を管掌するため、営業本部(本部長=副社長篠原良男)を新設した。これは、建築本部の下に置かれていた建築部と営業部の営業活動の重複性の解消と、民間土木工事とそれに関連する建築工事に対する営業担当の統合化、さらに工事情報の収集から見積り、受注、引渡しなど一連の業務を一貫した責任体制のもとに行うこと等をねらったもので、今回の組織改革の主眼である。営業本部の構成は下図のとおりである。

営業本部のうち新設となった室・部について若干触れる。
本部長室は、営業本部長のブレーンとして、建設需要の調査、工事獲得に関する基本方針および総合的施策の立案、全店の店別工事獲得目標の立案等を担任する。これに対し東京営業推進部は、営業の最重要拠点である東京本社所管地域における営業業務のスタッフ部門としての役割を担うもので、営業情報の収集、工事獲得に関する施策の立案、営業各部および営業所に対する工事獲得目標の立案等を担任する。いずれも企画機能の強化を図ったものである。
契約事務部は、東京本社所管の建築工事に関する入札書および提出見積書の作成、工事の決定に伴う事務等の業務のほか、従来総務部が担任していた請負契約の審査、契約書の作成、工事保証に関する業務を引き継ぎ担任する。
環境部は、工事が周辺環境へ与える影響の調査および分析等のアセスメント業務、工事現場周辺住民等との折衝業務を担任するもので、環境問題に関する業務の重要性がますます高まってきたことに対応したものである。
●建築生産本部
営業本部の新設に伴って建築本部が廃止され、建築部門のうち施工関連業務および資材部の業務を集約して、新たに建築生産本部(本部長=専務取締役工藤立治)を設置した。その構成は下図のとおりである。

本部長室は、企画機能の強化を図って、建築生産本部長のブレーンとして設置した。建築生産に関する総合的施策の立案、施工業務の総合監理、技術職員の配置の総合調整と研修等を担任する。
品質保証室は、品質保証業務の重要性に鑑み新設したものである。
購買部は、従来の資材部の業務と建築部の下請負契約業務を一元化し、集中購買による原価の低減と業務処理の効率化を図り、工事施工体制を強化することを目的として設置された。同部は、協力会社の指導育成および新規導入等の業務も担任する。
●設計本部
企画提案型営業、需要創出型営業の推進にあたって、設計部門の果たす役割は大きい。設計部門の組織力、技術力の一層の向上を図り、全社的に効率的な業務運営を行うため本部制(本部長=専務取締役向笠愼二)とした。その構成は下図のとおりである。

本部長室は、設計業務に関する総合的施策の立案、設計に従事する技術職員(設備に係る技術職を除く)の配置の総合調整等を担任し、本部長のブレーンとしての役割を担う。
設計技術部は、設計に関する研究開発、情報処理技術の開発、設計図書の標準化等の業務を担任し、また、設計環境部は、計画建物が周辺環境に与える影響の調査・分析、関係官庁との折衝業務、確認申請業務を担任する。
なお、設計本部は平成3年7月、完成したばかりのセンチュリータワービル(東京都文京区本郷、当社設計協力・施工)に移り、最新のオフィス環境のもとで執務することとなった。
●土木本部
建築部門の営業・施工に係る組織の改革と同時に、土木部門も営業力の強化と施工体制の一層の充実を図って、土木本部(本部長=専務取締役萩原惟昭)の組織の再編成を行った。その構成は次ページのとおりである。

本部長室は、前3本部に設けられた本部長室と同様に、土木本部長のブレーンとしての役割を担う。土木工事の獲得および施工に関する総合的施策の立案、全店の店別工事獲得目標の立案、技術職員の配置の総合調整と研修、協力会社の指導育成、土木工事の品質保証に関する全社的施策の立案等を担任する。
東京企画部は、東京本社所管地域における営業業務および施工業務のスタッフ部門であり、官庁等土木工事に関する営業情報の監理、東京営業各部および営業所に対する工事獲得目標の立案等を担任する。
また、東京本社所管の土木工事の進捗状況・工事利益の把握、工事事務所の編成等も行う。
●土木技術本部、技術研究所等
従来の技術開発本部のうち、土木関連部門である土木技術部、地下空間技術開発部およびダム部に土木本部設計部を加え、土木の技術営業部門を集約した組織として、土木技術本部(本部長=専務取締役黒沢重男)を設置した。
これに伴い、技術開発本部を発展的に解消したが、建築部門の研究開発については、今回機能強化を図って本部から独立の組織とした技術研究所および研究開発グループが主として担任するほか、技術営業と密接なかかわりをもつ特定分野の研究開発については、従来どおりエンジニアリング本部や原子力本部が担任していくこととした。また、技術開発本部にあった企画管理部および特許部も本部に属さない組織として独立させ、海洋技術部はエンジニアリング本部の海洋開発プロジェクト部に統合した。
なお、企画管理部は技術開発企画室と改称し、従前の業務を引き継いだ。
以上の組織の構成は下図のとおりである。

●エンジニアリング本部
今回の改正では変更ないが、2年5月に地球環境部が増設された。
●原子力本部
従前と変わりない。
●その他の組織改正
<関連事業室>
大林グループを形成する国内の関係会社の経営に関する企画機能を強化するため、総合企画室関連事業課を関連事業室とし、独立の室とした。
<情報システム企画室>
全社的経営情報システムの企画、部門業務情報システムの総合的活用のための施策の立案、コンピュータ利用による業務効率化の立案等を担任させるため、新設したものである。これに伴い、総合企画室OA課を新設の同室に移管した。
<労務安全部>
従来の労務安全部、土木本部安全管理部、建築本部安全管理部の3部を統合して労務安全部とした。
<不動産開発事業部および不動産開発事業管理部>
従来当社の不動産開発業務は、宅地造成を中心とした開発事業部と賃貸不動産等を取り扱う営業不動産部の双方で担当していたが、今回の改正において、自社事業のものはすべて不動産開発事業部で担当し、不動産開発事業の拡大を図ることとした。
また、同事業のスタッフ部門として、不動産開発事業管理部を設置した。
以上が東京本社に関する改正のあらましであるが、本店についても、営業部門を中心に東京本社に準じた大幅な改正を行った。