■―津室新社長就任
平成元年(1989)4月の取締役会において大林芳郎社長が会長に、津室隆夫専務が社長に就任することが内定し、6月の第85期定時株主総会後の取締役会で正式に決定した。大林家出身者以外の社長就任は当社として初めてであり、津室社長は当社第四代社長となる。
大林会長は、昭和18年、太平洋戦争のさなか、軍務に従うなかでの異例の社長就任であったが、戦後は敗戦後のきわめて困難な状況下での企業再建、高度成長下の発展、経済変動に伴う建設業浮沈のなかで、時勢に対応して企業の拡大と近代化、技術の革新、海外進出を成し遂げ、社業の発展に尽くした。社長在任45年7カ月に及び、昭和の激動を身をもって乗り切ったのであった。
この間、社業のほか業界諸団体役員として業界問題の解決、業界の地位向上にも尽力した。62年6月から社長職と会長職を兼任していたが、今回会長専任となったものである。
社長交替にあたり大林会長は、「昨今の企業経営、とくに最高責任者の職務の量および質を考えるとき、より高い観点に立って経営全般を掌握し、経営の遂行に役立てることが大切であると考え、この際、社長職をはなれ、会長職に専念することとした。新社長には、日常の会社経営に全力をもって当たってもらうこととした」と語った。
また津室新社長は、就任にあたり「当社はいくたびかの苦難に遭遇しながらも、先人達の努力によってこれを克服し、100年に及ぶ歴史を築き上げ、発展してきた。この当社の伝統をさらに活かし、リフレッシュを図り“新しい天下の大林”を目指したい。建設事業のEC化の推進、弾力的な組織づくりと人材の育成を進めていきたい」と、その抱負を述べた。
こうして当社は、創業100年を目前にCIを導入し、経営陣の新体制を整え、新しい発展への道を進むことになった。