大林組100年史

1993年に刊行された「大林組百年史」を電子化して収録しています(1991年以降の工事と資料編を除く)。
なお、社名・施設名などは、刊行時の表記のままとしていますので、あらかじめご了解下さい。

1 新「長期経営計画」の策定

■―受注拡大を課題として

本編第3章に記したように、当社は、2度の石油危機を経て比較的経済の安定が期待されるようになった昭和50年代の半ばになり、56年(1981)4月~61年3月の5カ年を期間とする長期経営計画を策定し、その実現に向けて取り組んできた。

しかし、この5年間においても、当初予測した経済成長率は見込みを下回り、円相場も予想をはるかに超える上昇ぶりであった。さらに建設投資においては、ほとんど伸びが見られず、土木に至ってはマイナス成長であった。そして、それらが主原因となって、長期経営計画の目標と実態との間にはかなりの乖離が生じた。

一方、受注条件や消化面などでの総合的な努力によって利益率は予想以上に向上し、財務内容についても計画を上回って好転した。

そこで、このような前回計画の実績を踏まえ、一層の前進を期して、61年4月~66年(平成3年)3月の5カ年を対象とする新「長期経営計画」を策定した。その内容は次項に記すとおりであるが、再び受注の拡大をそのトップに掲げ、これにチャレンジしていくこととした。

■―計画の概要

新たな長期経営計画においては、「経営資源のより一層の有効利用を図りつつ、建設事業におけるシェアの拡大ならびにグループ企業全体の業容の伸展を目指した積極的かつ柔軟な経営を展開し、業績の伸張と資本の充実を期する」ことを経営方針とし、以下の8項目の重要施策とそれぞれの細目が打ち出された。

1 受注の拡大と利益の確保

次の重点施策に基づいて、計画期間中の受注を年平均7.5%増加させるとともに、安定経営に必要な利益を確保する。
①需要構造の変化に適応した戦略型営業を推進するための体制を整備する。
②開発企画機能を充実し、需要創出型営業を強化する。
③大型工事の受注拡大を図る。
④首都圏、近畿圏など需要の大きい地域における営業力を重点的に強化する。
⑤リフォーム需要の増大に対応する体制の整備を行う。
⑥情報の早期入手、情報量の増大を図るため、情報網の強化を図る。
⑦顧客のニーズに対応できる技術営業の強化を図る。
⑧エンジニアリング事業の強化を図る。
⑨原価の低減と価格競争力の強化を図る。

2 技術の重点開発

①社会ニーズを先取りした研究開発、得意先のニーズに基づく研究開発および生産性の向上に資する研究開発を推進する。
②技術提携および技術交流を積極的に推進する。
③保有技術や研究開発成果について社内外へのPRを促進し、その有効活用を図る。

3 生産性の向上

次の重点施策に基づいて、計画期間中に技術系職員1人当たり施工高を23%引き上げる。
①常設機関の組織の見直しを行い、部門の統廃合によって業務処理効率の向上と要員増加の抑制を図る。
②小規模工事の効率的消化方策を実施し、生産性の向上を図る。
③品質保証業務を推進する。
④現場業務のOA化を推進する。
⑤業務によっては外注化を推進し、要員の増加を抑制する。
⑥SK運動を推進し、定着を図る。
⑦協力会社に対する指導および援助を強化し、その育成を図る。
⑧協力会社の企業努力を適正に評価した発注制度を確立する。

4 人材の育成と活用

①人員構成の変化に対応し、組織の活性化を図るため、業務の分担と人事制度の見直しを行う。
②国際化、ソフト化など社会経済の変化に対応した人材の育成、導入を行う。
③社員教育の充実を図る。

5 海外事業の強化

①海外事業について総合的な見直しを行い、効率的な運営方策を確立する。
②地域別、工種別に重点化した営業活動を推進し、受注の拡大を図る。
③採算性を重視した事業活動を展開し、収益率の向上を図る。

6 不動産事業の計画的展開

①開発物件の事業化を計画的に推進し、販売の促進を図る。
②新たな事業分野において不動産事業を展開する。

7 大林グループの業容の拡大

①新規事業を開発実施する。

8 その他

①安全成績の向上を図る。
②広報、宣伝活動を充実する。
③財務体質の強化を図る。

経営方針の説明会
経営方針の説明会
新会社「オークシステム」の職場風景
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新会社「アトリエ・エイティエイト」の打合せ風景(左端は舟橋社長)
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デイスターゴルフクラブオープン―クラブハウスのテープカットを行う左から津室社長、河野睦沢町長、大林会長、岡田副会長、安藝副会長(平成2年11月)
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