大林組100年史

1993年に刊行された「大林組百年史」を電子化して収録しています(1991年以降の工事と資料編を除く)。
なお、社名・施設名などは、刊行時の表記のままとしていますので、あらかじめご了解下さい。

1 新しい企業理念を打ち出す

■―企業理念の発表

当社のCI活動は昭和63年(1988)1月から準備的行動を始め、64年の年頭、大林社長による導入宣言によって本格的にスタートした。そして1年余にわたる活動を経て、平成2年4月1日、新しく定めた企業理念・経営姿勢・行動規範を社内に発表し、その周知を図った。

企業理念は次のとおりである。

  • 創造力と感性を磨き、技術力と知恵を駆使して、空間に新たな価値を造り出す。
  • 個性を伸ばし、人間性を尊重する。
  • 自然と調和し、地域社会に溶け込み、豊かな文化づくりに寄与する。

これらによって、生活の向上、社会の進歩と世界の発展に貢献する。

わずか数行の文言であるが、ここに当社が進むべき方向、姿勢、そしてそれを全うするための強い気持ちが込められている。

当社が企業活動を進めていくうえでの基本的な理念としては、創業当初からの三箴「良く、廉く、速く」がある。これに「安全」が加われば、顧客の要請に応えうる、すなわち企業として前進できる時代があった。しかし、経済の発展とともに産業構造の変化、事業のグローバル化、国際化が進展し、企業を取りまく環境は、かつてないほどのスピードで変化してきた。この大きな変化に合わせて、企業の理念や社会への対応の見直しも必要となり、企業に期待される社会的な役割も拡大してきたのである。そして企業を支える個人にもまた、こうした企業の役割を認識し、企業の掲げる理念の実現に努力することが求められた。

当社の掲げるべき基本的な姿勢や目指すべき方向をいかに具体的に表すか、企業理念の構築を柱とするCI活動の出発点はここにあった。次項に記す経営姿勢と行動規範を含め、これらは当社がその歴史を通じて培ってきた伝統を踏まえつつ、社会と次の時代にこれまで以上に目を向けた、当社全員が共有する新しい指標なのである。

企業理念のポスター(上・下とも)
企業理念のポスター(上・下とも)

■―経営姿勢と行動規範

経営理念と同時に発表された経営姿勢と行動規範はそれぞれ次のとおりである。

〔経営姿勢〕

  • 顧客のニーズに応える。
  • 時代を先取りし、新たな需要を創出する。
  • 明るく活力ある集団とする。
  • 社会に貢献する。

〔行動規範〕

  • 自らを高める。
  • 常にチャレンジする。
  • 柔軟に考える。
  • 創造力と個性を発揮する。
  • 良き市民、良き国際人として行動する。

経営姿勢と行動規範は、企業理念の実現に向けて企業活動を進めていくうえでの基本で、前者は企業に、後者は企業を組織する個人に重点がおかれているが、ともに企業理念を支えるものであり、三位一体の関係にある。

これらの発表に際し、大林会長は「新しい時代を拓き、大きく前進するための指針とすることを念願する」とし、津室社長は「新しい地図のもとに、私たちの未来を築いていこう」と呼びかけ、今後の道標としての意義を強調した。

CI導入の広告が掲載された各誌
CI導入の広告が掲載された各誌

■―新社章の制定

企業理念・経営姿勢・行動規範の制定に続き、これらを象徴するものとして新しい社章(コーポレートシンボル)を制定し、平成2年(1990)7月1日から使用を開始した。

この社章を核に、コーポレートカラー、コーポレートロゴタイプ、和文・英文社名ロゴタイプ、コミュニケーションシンボルをもって、当社の新デザインシステムが構成されている。これらはレイ・吉村氏のデザイン開発によるものである。

新社章は、人と地球の潤い豊かな調和を願い、果てしなく続く美しい地平線や水平線の彼方に大きな夢を託しつつ、たくましく未来を創造する当社の心を表象している。鋭く上方を指向している上部は、新たな価値を造り出す活力ある知識集団として、常に向上を目指す姿勢を表すものである。下部の末広がりの形は、あらゆるものを育む安定した地球のイメージであり、当社の限りない発展への願いを込めている。

また、社章の二つの色彩は次のことを意味する。

  • ブライトグリーン(Bright Green)
    自然と人、個人と社会との調和が保たれた明るい未来への希望を、地球の豊かな緑に託して表現している。
  • モーニングブルー(Morning Blue)
    新鮮で活力に満ちたわれわれの姿勢を、曙の空に託して表現している。

この新社章をはじめ新しいデザインシステムの実施に先立ち、6月14日、CI導入記者発表会を東京(帝国ホテル)、大阪(当社本店)において行った。東京では津室社長、大林副社長が、大阪では大林会長が出席し、当社のCIにかける熱意を示した。発表会ではCI導入に踏み切った経緯、目的を明らかにし、4月に制定した当社の企業理念・経営姿勢・行動規範の説明に続いて、新社章等のデザインシステム、サイトウェア(夏・冬用)、オフィスウェア(女子用)、受付服(夏・冬用)の新しいユニホーム(デザインは安部兼章氏による)を発表した。

また、7月2日を中心に、全国紙はじめ30を超す新聞に1ページカラー広告を掲載したのをはじめ、有力月刊・週刊諸雑誌にも広告・記事広告を載せ、注目を集めた。

新社章
新社章
CI導入記者発表会(東東)
CI導入記者発表会(東東)
CI導入記者発表会(大阪)
CI導入記者発表会(大阪)
展開形a展開形b展開形c
展開形a展開形b展開形c
コーポレートロゴタイプ
コーポレートロゴタイプ
社名ロゴタイプ(和文)(英文)
社名ロゴタイプ(和文)(英文)
CIアプリケーション
CIアプリケーション
サイトウェア 夏用(半袖)夏用(長袖)冬用
サイトウェア 夏用(半袖)夏用(長袖)冬用
受付服 冬用夏用
受付服 冬用夏用
工事現場で実践されているVIデザインの例
工事現場で実践されているVIデザインの例
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