■―プロジェクト・チームの設置
当社事業の根幹をなす工事現場においては、施工にかかわる技術や安全衛生面での法的規制の強化、近隣問題への対応などから、工事事務所において処理すべき業務は多岐にわたり、また常設部門との連携事務も一段と増加した。さらに、小規模現場の増加によって現場要員不足が顕著となりだすなど、現場業務の合理化とこれに関連する管理業務の簡素化が必要となった。
当社は昭和10年(1935)に『現場従業員指針』を刊行し、創業以来の営業方針である「良く」「廉く」「速く」の三箴を基本として、科学的経営の要諦と手法をここに示し、実践してきた。その指針の精神は現在もなお生かされているが、昨今の社会情勢の変化や技術の進歩の著しい速さは、現場業務の日々の改善を必要としたのである。
このような背景のもと、工事事務所における工事管理システムの改善、現場業務およびこれに関連する管理業務の合理化の推進を目的として、55年7月、「現場業務合理化プロジェクト・チーム」が設置され、同時にこれらの合理化方策に関する基本的事項を審議検討する機関として、現場業務合理化委員会が設置された。
同委員会の委員長には吉野専務取締役が、副委員長には、建築・土木・営業・事務の各部門の常務役員がそれぞれ就任した。また、委員16名は関係部門の部長、工事事務所長等で構成され、全社的な取組みが展開された。折しも工事受注時の利益率が低迷傾向にあって、工事現場における生産性向上は急務の課題となっていた。
こうした状況のもとで、プロジェクト・チームは現場業務の全面的な分析から取りかかり、「紙切れからシステムまで」を合言葉に、合理化の対象となる事項の絞込みを行い、常設の関係部門との綿密な検討調整を行って改善策を打ち出していった。その主な事項を以下に述べる。
なお、プロジェクト・チームは当初1年の期限で設置されたが、実際には3年の期間を要し、58年9月、所期の目的を達して業務を終了した。プロジェクト・チームの解散後は、関係各部門が実施業務を引き継いだ。