■―営業情報整備プロジェクト・チームの設置
当社は低成長時代の経済・産業構造の変化に対応して、開発企画型営業の推進、技術の優位性を生かした営業活動、エンジニアリング事業の展開を図ってきた。また、「全社員が営業マン」のスローガンのもと実施した営業情報の提供運動は、相応の成果をあげた。
しかし、情報を早期にキャッチして組織的な営業活動を行い、これを最終的には工事の獲得に結実させていく力は、十分であるとはいえなかった。業者間の厳しい受注競争に打ち勝つためには従来にも増して情報の活用、セクショナリズムを排した全社一体の組織的営業の推進が必要であった。
昭和59年(1984)の年頭、大林社長は「58年度上半期における工事受注高は、前年同期に比べやや増加はしたが、経営計画の目標額には及んでいない。本年度は世界不況も回復の兆しがあり、受注環境の変化の機をとらえて、受注に積極的、強力に取り組み、受注高を大幅に増加させねばならない」と訓示し、さらに次の方針を示した。(要旨)
「営業の実をあげるには組織的に営業活動を行う必要がある。組織的営業強化のためには、営業部はもとより、全社を挙げて早く、広く、きめ細かく、的確に営業情報を把握するとともに、入手した情報をより有効に営業活動につなぐことができるよう営業情報システムおよび営業体制を整備する必要がある。
営業情報システムの整備については、過去の営業活動の状況および受注実績、現在の入手の状況および確度、新しい工事計画等の情報を、日々の営業活動に有効に活用できるよう総合的に蓄積、管理運用できるようなシステムを早急につくり上げねばならない。限られた陣容で効率的な営業活動を行っていくためには、営業活動について活動計画、活動状況等をデータとして組織的に把握し、管理する体制をつくる必要がある。」
この方針を受けて、59年8月営業情報整備プロジェクト・チーム(担当役員=専務取締役安藝恒夫)を設置し、データベースとしての営業情報の整備と活用システムの確立を図り、課題であった営業関連部門の組織的営業の強化方策を検討することとした。